ライフベストの着用等について
最近小型艇を中心にプレジャーボートの隻数が増加しています。
艇が小型であれば、安全に関してリスクが高くなるのは当然と考えることであります。従って気象海象情報を初めとして安全について十分留意する必要があります。
この原稿を書いている最中に、尾鷲市の近辺で釣船(長さ約8.2?)が転覆し1人死亡、2人行方不明という悲劇が生じてしまいました。
出航前には各種の安全情報を収集・分析しておくとともに、乗船中は全員が常時ライフベストを着用することをお勧めします。
ライフジャケットは常時着用に適さないのが一般的ですので、常時着用に適したものを用意するのがよいと思います。
私の願いは、バイクのヘルメットのように、乗船中のライフベストがファッションになって競って着用されるようになることです。そうなるようにメーカーの方もおおいに努力してもらいたいと思います。
また不幸にして「のりひび」等漁網に乗揚げた場合ですが、船の復原性能を甚だしく悪くし危険な状態になります。そのうえ絡網すると簡単には脱出できません。
従ってできるだけ早く漁協等に連絡して処理してもらうことが肝要です。
BANでも毎年数件の絡網トラブルが発生します。なかには何とか自力で離脱しようと努力したがかなわず、通報が日没後になってしまい、関係の漁協に必要以上の迷惑をかけた例もあります。
幸いにして絡網中に天候が悪くなって転覆に至るというような最悪の事態になった例はないのですが、絡網したらできるだけ早く通報してもらうことを念じている次第です。
絡網に限らず相手に損害を与えることはあると思って必ず賠償責任保険には加入するとともに、BANのサービスエリヤで活動される方は、BANに加入していただきたいと思います。

ライフベストを着用していると水面に浮くことができる
おわりに
BANは世界に例を見ないシステムです。
トラブルに遭遇した海洋レジャー愛好者が無事を喜んでくれることと、会員の皆様と直接会話ができることが私どもの大きな励みであります。これは多くの可能性を秘めていると考えています。
これまで海上保安庁、日本財団、RSを引受けていただいている各位、メーカー、損害保険会社等関係者の皆様のご支援、ご協力を得て活動してきた結果、プレジャーボート愛好者にBANは理解されつつあると信じております。
関西BANが、段落したら、次ぎは伊勢湾、三河湾や瀬戸内海等に展開してブレジャーボートによる海洋レジャーが健全で安全快適な発展をすることを念願しているものです。
また今年度は日本海事財団の補助事業で「東京湾内の法定航路およびその周辺海域におけるプレジャーボートの安全運航に関する調査研究」を実施し、海上交通環境が特に厳しい湾内の法定航路およびその周辺海域におけるブレジャーボート等の運航実態を調査し、安全運航に関する指針を見いだし海難の未然防止に資する計画です。

参考写真=スズキ株式会社提供