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 その結果は図2に示す通りです。
 次に各トラブルの特徴的なところをあげてみます。

(1)冷却水系統

 シーズンの初めは冷却水ポンプのインペラが損傷するケースが目立ち、8月下旬ごろからは冷却水管系が汚損のため冷却水量が減少して、オーバーヒートに至るというのが多いようです。

(2)燃料系統

 燃料系統燃料タンクの油量が減少したため、底部に沈殿した水分やスラッジが燃料パイプに混入してトラブルを起こすことが多いようです。これはヨットでもしばしば起きています。定期的なドレン抜きを行うとともに、航海計画に合せてタンクを満タンにしていただきたいと思います。またトラブルを起こしたとき、燃料系統の空気抜きを行う必要が生じますのでその方法をマスターしておいてもらいたいと思います。

(3)電気系統

 ブレジャーボートは船としては小型であり、電気系統が塩分にさらされやすいので、その分弱いことを、念頭においておく必要があります。不具合個所が特定できないまま接触不良を起こして、セルモーターが起動しなかったトラブルが数件ありました。

(4)スパークプラグ

 プラグは品質が向上しているので問題を起こすことはないようですが、起動時の取り扱いが悪くて「かぶり」現象を起こして起動しなかったというのがすべてです。
 また100PSから150PSの船外機に多いようです。少なくてもこのようなトラブルの解決方法はマスターしておいてもらいたいものです。

(5)ドライブユニット

 プロペラにロープを巻いたり底触したりして、過負荷状態で運転したため、ギヤやシャフトを損傷させたケースが多いようです。
 ロープを巻いたその時は異常が無くでも、後口トラブルに至る可能性があるので、その時点で業者に点検を依頼しておくことが必要です。
 またアウトドライブのベローズは環境保護の観点から防汚剤が使用されていないので、汚損による劣化が予想以上に進むので、早めの交換を奨励しています。

(6)オイル系統

 オイルフィルター外筒に破孔を生じたり、クランクシャフトのオイルシールが不良のため、オイルが漏れてトラブルに至っています。エンジンルーム内の定時点検は是非心掛けて下さい。

(7)バッテリー

 過放電による起動不能がすべてで、うっかりエンジンを止めた後メインスイッチを切らずに釣りに夢中になっているうちに、過放電してしまったというたぐいが多いようです。
 中にはせっかく予備のバッテリーを持っていたのに、長期間充電しなかったため、いざというとき使い物にならなかったという例もあります。

図2 エンジントラブル発生箇所調査

 

 

 

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