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プレジャーボートの保険にはどんなものがあるのか

プレジャーボートの保険には、ヨット・モーターボート総合保険(以下「YM保険」と略)とプレジャーボート保険(以下「PB保険」と略)がある。

1、YM保険

 損害保険業界では、取扱い保険種目を大きくマリン(海上保険)とノンマリン(海上保険以外)の2つに分けて営業していることはご存じの通りである。
 海に浮ぶ物件は、一般的にはマリン物件とされているので、プレジャーボートの保険はすべてマリンで扱っているのかというと、そうではないのである。
 現在、プレジャーボートの保険といえばYM保険のことを指すと思われるほどポピュラーになっているYM保険は、実はノンマリンで扱われている保険なのである。
 この保険が、自動車保険に類似してしているのもそのためで、後で述べるマリン種目のPBが船体をべ-スにしているのに対し、この保険は、賠償責任保険をベースにすれば船体保険が無くても、他の保険と組み合わせることができるようになっている。

(1)対象船舶

イ、帆走ヨット(トン数に制限無し)
口、総トン数20?未満の非営業用モーターボート
ハ、総トン数5?未満の船舶

(2)補償の内容

イ、賠償責任(例=他船、漁網、遊泳者等に損害を与えた)
口、船体損傷(例=衝突、座礁等により自分の船体が損傷した)
ハ、搭乗者傷害(例=デッキで転倒して大けがをした)
二、捜索救助費用(例=搭乗者が落水し、捜索・救助のため費用を支出した)
 基本契約は、イまたは(両方付けることも可)となっていて、その上に付帯契約としてハおよび二を乗せることができる。
口は、自動車保険における車両保険と同様、保険料が高くなるため、それがなくても保険契約が成立する制度としているわけである。

(3)補償されない損害

 地震・津波等による事故、故意により発生した事故は補償の対象外となる。それ以外にも補償されない事故がいくつか列挙されているが、気 を付けなければいけないと思われるものは、次の場合である。

イ、船体保険について

a、エンジンの焼き付きによりエンジン自体に止じた損害吸水口にビニールなどが付着し、冷却水が上らなくてエンジンが焼き付くケースは東京湾や大阪湾のような人口過密な都市付近の水域ではよく起きるが、保険の対象にはならないので、エンジン音には細心の注意を払う必要がある。

b、故陳損害(偶然な外来の事故に起因しない電気的または機械的損害)BAN事業の救助出動統計では、エンジンがかからない、クラッチが入らない、バッテリーが上がってしまった等の理由で航行不能となったため救助を要請してくるケースが圧倒的に多い。

 自動車であればその場に放置できるが、海の上でのエンジントラブルは重大事故に発展する危険性をはらんでいるから、ただちに修理のための曳航費用がかかることになる。事故、原因が免責されていれば、曳航費用も保険の対象にはならないので、修理費以外に余分な出費がかさむことになる。日ごろの入念な整備が肝要である。

口、捜索救助費用について

 捜索救助費用は、乗員が遭難した場合(わかりやすい例を挙げれば落水した場合)の捜索費用、救助費用がてん補されるのであって、エンジントラブルで漂流しているプレジャーボートを救助してもらう費用がてん補されるわけではない。
 「救助費用」という、口薬のイメージで、船体の救助費用がカバーされると思い違いしている人が意外に多いので注意を要する。


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