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特集 プレジャーボートが海難ワーストワン

 その現状と事故防止対策について

海上保安庁警備救難部航行安全課

  はじめに

 近年、生活水準の向上、労働時間の短縮等に伴い、国民の余暇活動への関心が高まり海洋レジャーが新しいライフスタイルの一部として確実に国民に定着しています。
 海洋レジャーのうち、プレジャーボート等(遊漁船を含む)の活動については、従来からのモーターボート、ヨット、水上オートバイなどに加え、低廉な小型のフィッシングボートやゴムボート等の出現により、ボートが多種化、多様化するとともに、その便用形態も単なるクルージングや遊漁以外にも水上スキーやウェークボード等を用いるなど、活動自体も多様化、活発化の傾向にあります。  このため、プレジャーボート等の活動に伴う事故が増加傾向にあり、平成9年においてはプレジャーボート等の要救助船舶が、船舶種類別で漁船を抜いて初めてトップとなりました。

 平成9年におけるプレジャーボート等の海難の発生状況

 平成9年に救助を必要とする海難に遭遇した船舶(要救助船舶)のうち、モーターボート、ヨットといったプレジャーボート等は677隻で、これに伴う乗船者の死亡・行方不明者は33人となっています。
 なお、台風および異常気象下のものは、短期間に特異な要因により発生し、かつ、年変動が大きいことから、これを除くとプレジャーボート等の要救助船舶は675隻であり、以下、これについて分類します。

1、海難発生状況について(図1、2参照)


図1 プレジャーボート等の海難隻数の推移
  (台風及び異常気象下のものを除く)


図2 プレジャーボート等の船型別・海難種類別発生状況
(台風及び異常気象下のものを除く)

(1) 船型別発生状況
 プレジャーボート等の要救助船舶675隻を船型別に分類すると、モーターボート463隻(68.6%)が最も多く、次いでヨット92隻(13.6%)、遊漁船48隻(7.1%)、水上オートバイ46隻(6.8%)、手漕ぎボート26隻(3.9%)となっています。

(2) 海難種類別発生状況
 プレジャーボート等の要救助船舶675隻を海難種類別に分類すると、機関故障149隻(22.1%)が最も多く、次いで衝突126隻(18.7%)、乗揚げ89隻(13.5%)、推進器障害82隻(12.1%)、転覆68隻(10.1%)となっています。

(3) 船型別・海難種類別発生状況
 1 モーターボート463隻のうち、機関故障131隻(28.3%)、衝突75隻(16.2%)、推進器障害60隻(2.0%)などとなっています。
 2 ヨット92隻のうち、乗揚げ21隻(22.8%)、転覆19隻(20.7%)、推進器障害14隻(15.2%)などとなっています。
 3 遊漁船48隻のうち、衝突18隻(37.5%)、推進器障害7隻(14.6%)などとなっています。
 4 水上オートバイ46隻のうち、衝突25隻(54.3%)、機関故障4隻(8.7%)などとなっています。
 5 手漕ぎボート26隻のうち、転覆8隻(30.8%)、衝突6隻(23.1%)などとなっています。

 

 

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