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シンガポール連絡事務所便り

 シガポールでフォーラム

 マラッカ・シンガポール海峡での船舶航行安全問題は、今や世界的に関心の的となっていますが、とりわけシンガポールに進出している邦人の海事関係企業にとっては重要問題です。
 そのような見地から、日本海難防止協会シンガポール連絡事務所は1996年7月20日、第1回海の日に合わせて設立以来、海峡周辺の特殊事情に基づく諸問題へのフォローをはじめ、海峡での海難・油流出事故に邦人船社等がどのように対処することができるか、またその際、シンガポール連絡事務所がどのような役割を演ずることができるかを模索してきました。
 1997年3月、在星邦人の海事関係者による連絡協議会の準備会を呼びかけましたところ、船社等のシンガポール現地法人が10数社集まり、日本船員センターの金子氏議長の下、情報の交換と蓄積および分析を主とするフォーラムの開催として賛同が得られました。


32団体が出席した盛況かつ熱心な第1回フォーラム

 準備期間として1年かかってしまいましたが紆余曲折を経て、本年(1998年)4月17日に第1回ジャパン・マリタイム・セフティー・フォーラムの開催にこぎつけました。
 シンガポールの海事関係の集まりはすでに二水会や海洋会という、いずれも伝統の親睦会がありますので、この中の船社、代理店等の法人企業に絞って案内状を送ったところ、32団体からの出席回答となり、盛況かつ熱心な初会合を飾ることができました。
 当日のフォーラムの内容は、昨年10月15日シンガポール海峡において起きたC重油約28,500?が流出するという大量油流出事故の詳細説明、同海峡へ日本が取り組んできた経過説明に続き、これまでに当シンガポール連絡事務所が収集した資料の中から、沿岸3ヶ月によるマラッカ・シンガポール海峡の新TSS(通航分離帯)ルーティング提案、海賊の1997年集計データ、海峡周辺の海難統計等配付資料の説明で予定時間が尽き、議論ができませんでしたが、次回からはこれらをもとに活発な議論が期待されます。
 フォーラムとは自由討論会だそうで、自由な参加と発言が基本です。目的はマラッカ・シンガポール海峡を含む東南アジア周辺での海難防止および大量油排出時において、邦人海事関係者として事前および事後の対処をいかにすべきかを、情報を持ち寄り、ともに考えることです。
 会長等の役員は一切いませんので私どもの事務所が事務局を務めることとなり、気軽にものを言うことができる雰囲気をいかに作り、かつ維持できるかが「鍵」と心得ます。
 最後に、当フォーラムの発足にあたり、在シンガポール大使館の平田1等書記官(当時在勤)と金子先輩から絶大なるご協力をいただいたことを感謝申し上げます。

(=則包辰男記)

 

 

 

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