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見学のできる灯台(3)

犬吠埼灯台

 (社)燈光会


 この灯台は、北米・ハワイ航路の初認標識で沖を航行する船舶や銚子港に出入する船舶の安全のために、明治5年9月に着工し同7年11月に完成・点灯しました。
 交通の便利さもあり、見学のできる灯台11ヵ所のうちで見学者数はトップです。


犬吠埼灯台全景

灯台の生い立ち

 この灯台の建設はイギリスから招曲行した灯台技師ヘンリー・ブラントンの設計・施工監督によるレンガ造りの大型灯台です。
 この工事には、193,000枚のレンガが使われました。当時、レンガはイギリスから輸入しており高値であったので、中沢さんという灯台寮(現在の灯台部)技師が国産化を主張し、ブラントンとの苦心の交渉の末、香取郡高岡村にレンガに適した良質の土を発見し、土地の旧藩士に製造法を教えて製造したものです。
 この灯塔は120年余の歳月に耐えて、レンガ造りの建築物として日本一の高塔としてその威容を誇っています。
 灯台のレンズは、フランス製の第1等の8面閃光レンズでしたが、これは太平洋戦争で破壊され、現在のものは灯台局レンズ工場で製作した第1等四面閃光レンズを使用しています。
 先のフランス製の1等8面閃光レンズは、輸入後横浜の灯台寮内に新設した試験灯台において組み立てられて、明治7年3月明治天皇、皇后両陛下の天覧の栄に浴しました。
 現在は、戦災によりレンズの下部が欠損していますが、愛知県の明治村に復元し展示しています。灯器も当初石油を使用しましたが、現在ではメタルハライド電球を使い200万カンデラで、全国の灯台の中でも最大の光度を保っています。
 初代の灯台長はイギリス人ウィリアム・バウエルスで、外国人の灯台長は明治11年まで5代続き、その後は日本人の手により管理されるようになりました。
 この灯台には、霧信号所、無線標識局があり、船舶気象通報業務も行っている総合的な航路標識事務所です。


夜の犬吠埼灯台

灯台余話

 その1 この灯台の長いらせん階段は、段数が99段ありますが、設計したイギリス人技師が九十九里浜にちなんで設計したともいわれています。

 その2 灯台の落成間近にこの巨大なレンズを見た地元の人々は、あかりで魚が取れなくなると大変心配しましたが、その翌年はまれにみるかつおの大漁となり灯台のおかげと大喜びをしたそうです。

 その3 行政区画の地名には崎の字が多く使われていますが、灯台には埼の字が大部分です。

 碕の字を用いる灯台名(出雲日御碕)もあります。犬吠埼は、地名も灯台名も埼の字である唯一のものです。


灯台へのアクセス


電車=JR銚子駅〜銚子電鉄犬吠駅下車
長距離バス=東京駅八重洲口〜犬吠埼京成ホテル、約3時間
車=東関東自動車道〜佐原・香取インター〜銚子市内経由犬吠埼

 

 

 

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