3 孤立障害標識
この標識は、標識の位置またはその付近に岩礁、浅瀬、沈船等の障害物が孤立してあることを示しているのであまり近寄り過ぎて航行するのは危険である。
さて、この標識の塗色は標体が黒地に赤横帯1本以上、頭標が黒球形2個縦掲で注意等に用いる黒がある。また、灯色は白色で光り方は群閃2閃光(周期5秒または10秒)でこの標識のみの大きな特徴である。頭標、光り方とも2に関係があると覚えておこう。
4 完全水域標識
この標識は、標識の周囲に可航水域があること、または、標識の位置が航路の中央であることを示している。
この標識は、標体塗色が赤白縦じまで、頭標は赤の球形1個、灯色は白色、光り方は等明暗光、モールス符号光A(・―)または長閃光ごと10秒に一閃光のいずれで覚え方のポイントに欠ける。そこで、次のようなこじつけ覚え方を探って見よう。
浮標式の頭標は、円すい形、円筒形が多いが、球形のものは黒2個の孤立障害標識と赤1個の安全水域標識である。
そこで、昼間は頭標の球形1個に着目して指でマルを作ってOK=安全に航行できる水域とでも覚える。夜間は他の灯浮標にはない光り方とでも覚える以外になさそうである。
5 特殊標識
この標識は工事区域、土砂捨て場パイプラインなどの標示や海洋観測ブイのような特定の目的のために使われる。
標体塗色は注意等を現わす黄色で、頭標も黄x形1個そして灯色も黄色で光り方は単閃光、群閃光ごと20秒に5閃光またはモールス符号光(AとUを除く)のいずれかである。だから、黄を見たら要注意(近寄るな)とでも覚える。
なお、近年、海上保安庁の指導で定置網等の漁業施設などの存在を示すため簡易標識としての特殊標識が全国的に設置されている。簡易標識とは何か。航路標識法第2条但し書きに「海上保安庁以外の者が自分で行う事業のため航路標識を設置する場合はあらかじめ海上保安庁長官の許可を受けなければならない」と規定している。これを許可標識というが、この許可基準である施設、性能基準に満たない小規模なものを簡易標識という。
簡易標識は許可を要しないが、船舶運航者にとっては重要な標識なので、この設置にあたっては塗色、灯色、光り方等その目的に応じて適切に設置され管理するよう海上保安庁は設置者に求めている。
なお、簡易標識には特殊標識のほか側面標識がある。
6 特定標識
この標識は、IALA海上浮標式にはないが、例外的に航法指導上特に必要なときなどに塗色、光り方など性質の1部を変えて使用されるが、この覚え方は側面標識や安全水域標識の塗色などと関連して覚えておくとよい。以下、具体的な事例として掲げてみる。
(1) 海上交通安全法の規定による横断の禁止、速力制限の区間などを示すもの
a 浦賀水道航路中央第四号灯浮標、同第五号灯浮標、備讃瀬戸東航路中央第四号灯浮標。
標体塗色は、上部黄、下部赤白縦じまは黄は注意等、赤白縦じまは航路中央を意味する。
頭標は、赤球形一個水路中央を意味する。
灯質は、モールスA(・―)安全水域標識と同じ航路中央を意味する。