2 方位標識
方位標識は北方位標識、東方位標識、南方位標識および西方位標識の四種類があり、その名称の方位側に可航水域が、反対側に障害物があることを示している。
例えば、北方位標識はその北側が可航水域、南側には岩礁等の障害物がある。さらに、北側に航路の出入り口、屈曲点または合流点がある場合もそれを示している。
(1) 塗色
浮標式の標体塗色の一般論として、黒や黄の色は注意、警戒または危険がある場所に用いられることを覚えておいてほしい。
黒、黄の標体塗色を見たらまず注意。
次に黒の帯の本数とその位置に着目する。
a 北方位標識は、黒1本帯が上部(下部は黄)にあるので、海図の上部は北であることを連想し黒が上は北と覚える。
b 南方位標識は、黒1本帯が下部(上部は黄)にあるので、これも海図の下部が南であることを連想して黒が下は南と覚える。
c 東方位標識は黒が上部と下部の2本帯(中間が黄)であるものは東と覚える以外になさそうだが、これは次に述べる頭標と対応して覚えるとよい。
d 西方位標識は黒が中間の1本帯(上下は黄)であり、これを覚えるポイントに欠けるが、頭標と対応して覚えるとよい。
(2) 頭標
方位標識も側面標識同様頭標で識別できる場合があるので是非覚えておいてほしい。
a 北方位標識の頭標は円すい形2個縦掲で、2個とも尖った方が上向きであるので、海図を連想し尖った方が上は北と覚える。
b 南方位標識の頭標も円すい形2個縦掲で、2個とも尖った方が下向きであるので、海図を連想し尖った方が下は南と覚える。
c 東方位標識の頭標も円すい形2個縦掲で、上は尖った方が上向き、下は下向きでエレベーターの上・下ボタンを連想しエレベーターのEは
EASTと覚える。
d 西方位標識の円すい形2個縦掲で、上は尖った方が下向き、下は上向きでワイングラスの形を連想しワイングラスのWはWESTと覚える。
なお、前項の塗色と頭標の対応は、東方位標識の尖った向きと標体塗色の黒帯の位置を対応させて覚える。西方位標識も頭標の尖った向きと塗色の黒帯とを対応させて覚える。
(3) 灯質(光り方)
灯色はいずれも白色なので光り方で覚える。まず、時計の文字盤とコン。ハスを連想する。
a 北方位標識の光り方は連続急閃光である。これは急閃光が連続して光ることから「数が多い光り方」なので時計の文字盤の数が多い「12時」に対応させる。そこで時計とコンパスを連想し数が多い→12時時→コンパスの北と覚える。
(注)急閃光とは1分間に50回の割合の光りを一定の間隔で発し、明間の和が暗闘の和より短いものをいう。
b 東方位標識の光り方は群急閃光ごと10秒に3閃光である。3閃光は時計の文字盤の3時に対応する。3閃光→3時→コンパスの東と覚える。
c 南方位標識の光り方は群急閃光ごと15秒に6閃光と一長閃光(2秒以上光る)である。6閃光は時計の文字盤の6時に対応する。6閃光→6時→コンパスの南と覚える。
なお、6閃光のあとの一長閃光は、東の3閃光と西の9閃光とを間違えないようにこれらと区別するためにあると覚えておこう。
d 西方位標識の光り方は群急閃光ごと15秒に9閃光である。これも9閃光→9時→コンパスの西と覚える。<図2、3>参照
<図2>

<図3>
