投網は船尾の方向に行われ、揚網は船首の方向に行われます。
敷設の方向は、潮流(海岸線)とほぼ直角の方向(苫小牧、室蘭間では北北西、苫小牧〜襟裳間では北北東)に行われ、隣接の網とは900メートル以上離すことになっていますが、敷設後これらは漂流するため一定していません。
なお、この時期の潮流は90%が東から西へ流れます。
投網後、漁船は通常網の風下側に繋がっていますが、離れている場合もあります。<図2>
操業標識
投網の際、沖に向かって敷設していく場合は船尾に、陸に向かって敷設していく場合は船首に、旗(大漁旗または1メートル×0.8メートル以上の赤色旗)が揚げられます。
敷設した網には、両端にそれぞれ赤色2枚旗と赤色点滅灯火が、中間には500から800メートルおきに赤色1枚旗と白色点滅灯火が設置されます。<図3> これらの灯火の光達距離は、およそ1〜2カイリ程度です。
図3 漁網敷設図

さらに大半の網には、レーダーで見た場合に網がラインとして認識しやすいように、レーダー反射器も取りつけられます。
事故の状況
例年、非常に多くの事故が起きており、さけ・ます流し網漁業だけでも、上表の被害が発生しています。
被害の大半は船舶の乗り切りによる網の切断・流出によるもので、主に夜間、沖合3〜10カイリのところで発生しています。特に室蘭〜登別沖の3〜5カイリの間で多発しています。
漁具・漁網の被害状況 (単位:千円)

航行上の注意事項
- さけ・ます流し網は、大変に長く密集して敷設されるうえ、発見が難しいので、漁場内での回避は非常に困難です。また、夜間や悪条件下での回避は極めて困難になりますので、極力、漁船が操業している場所を避けて航行してください。やむを得ず操業している漁場内を航行する場合は、見張りを厳重にして注意のうえ航行してください。
- 敷設している網を発見した場合は、赤色灯火または漁船のいるところまで避航して避けてください。
- 夜間、敷設してある網に接近してくる船舶を漁船が発見した場合、漁船は探照灯等により、網の敷設してある方向を示します(海上衝突予防法第36条)。
- 操業漁場内では、網が密集しているため、1つの網を避けてもすぐ次の網があることがありますので、十分注意してください。
- 操業中の漁船は、網と繋がっていることが多く、いずれも自由な航行ができませんので、これらを発見した場合には、特に注意し、早めに大きく迂回してください。
操業状況の案内
当日の操業状況(操業位置、着業隻数等)は、その日の漁場海域の状況によって異なります。委員会ではこれらの情報をとりまとめ、提供できる体制を整えておりますので、付近海域を航行される場合には、次に問い合わせください。
◎日高漁業無線局
住所 様似郡様似町潮見台44番地
電話 01463-6-3143
運用時間帯 24時間
【注】この海域では、本漁業のほかに、定置網、刺し網、はこ、かご、釣り、底引き網、けた網、延縄などの漁業を行っております。
操業漁船と航行船舶相互の理解と譲り合いで、海上の安全確保を図りましよう。