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 この期間、南方振動指数も1997年3月に正から負に転じたまま貿易風の弱い状態が継続しており、先にENSOの説明で述べた関係を明瞭に示しています。
 このような大気と海洋の状況によってインドネシアやニューギニアなどを中心とする少雨・高温、オーストラリアの少雨、アフリカ東部の大雨、南アメリカの太平洋岸の高温、南米北部とカリブ海沿岸地域の高温・少雨などの異常気象が現れています。

 むすび

 エルニーニョ現象は世界の広い地球に影響をもたらすことから近年高い関心を集めています。気象庁はその重要性にかんがみ、監視を継続しています。今回の現象に関しても発生の初期から定期的に監視情報を提供してきたところですが、今後はさらに太平洋赤道域における海面水温の予測情報もあわせて提供すべく、その技術開発に取り組んでいます。

〈図3〉1998年1月の海面水温図(上)および平年偏差図(下)

 海面水温図の太線は5℃ごと、細線は1℃ごとの、平年偏差図の太線は1℃ごと、細線は0.5℃毎の等値線を示しています。海面水温図の陰影部は28℃以上であることを、偏差図の陰影部は平年(1961〜90年の30年平均値)より低いことを示しています。

 

 

 

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