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(1) 大阪湾沿岸域環境保全リスク情報マップを試作するとともに、試作図に対する関係利用者の意見を聴取し、今後のマップ作成に反映させるため、平成10年3月に大阪でワークショップを開催した。
(2) 平成7年度より3ヵ月計画で実施してきた報告会を平成10年3月東京で開き、わが国における今後の同情報マップの整備・普及の促進に関して、関係者と幅広い意見交換を行った。

 ばら積み危険物の荷役および輸送中における安全に関する調査研究

 目的

 船舶に積載されるばら積み危険物は新規の物が次々に出現しており、その性状や港湾における事故時の応急処理等に関する情報の整備、更新は社会的に重要な課題となっている。
 この調査研究は、平成10年7月予定されているIBCコード(危険化学品のばら積運送のための船舶の構造及び設備に関する国際規則)の改正に伴う、「危険物船舶運送及び貯蔵規則」の改正および「船舶による危険物の運送基準等を定める告示」に対応して、港則法上の危険物の選定に備えるとともに、ばら積み危険物の選定基準に対する考え方および新規物質の性状等の情報を整理することを目的とした。

調査項目および内容

(1) IBCコード改正に伴う港則法上の新規危険物の選定
 IBCコード第3回改正案では、新規危険物が20品目出てきており、そのうち港則法上の危険物として4品目を選定した。
(2) 港則法上危険物の選定手法の見直し・再検討
 ばら積み危険物の港則法への選定手法について、個品危険物の基準とは全く違った手法を検討してみたが、量の概念を取り入れると、従来よりも厳しい基準となることから、現状において問題が出てきた場合に再検討することとし、当分は従来どおり物質ごとの物性データから危険性を判断しそれぞれについて個品危険物の選定基準に従うこととした。
(3) 港則法上の危険物に関する情報の管理
 港則法上の新しく選定された物質等について、危険物の積み込み、積み替えまたは荷卸に係る海上保安業務の効率化を図るための基礎データとして、性状、取り扱い等の情報を整理し、危険物性状等データ・コーディングシートを作成した。

 船舶のバラスト水管理方策に係る調査研究

 目的

 船舶のバラスト水に混入して移動する海洋生物が、本来生息していない海域に侵入・帰化することにより、当該海域における貝毒の発生、海洋生態系の破壊など環境に対して有害な生態学的影響を与えることが、新たな海洋汚染問題として取り上げられてきた。わが国においても、バラスト水による外来種の繁殖が報告されはじめている。
 国際的には、IMO(国際海事機関)において、この対策として、船舶のバラスト水管理規制を義務化するための規則および規則実施のためのガイドライン策定作業が継続して行われており、現時点では、同規則およびガイドライン案を2,000年をめどにMARPOL73/78条約の新附属書として採択される予定である。
 また、豪州、カナダ、米国等においては、自国の海域に入域する船舶に対して、入域前に洋上でリバラスト(バラスト水の交換)の自主規制を既に実施している。
 しかしながら、この方策については、その有効性が明確に確認されておらず、また船舶の安全性等さまざまな問題があり実施できない場合が多々生ずる。
 豪州、米国、欧州諸国等では、このリバラストに代わる手段として、フィルター処理法、温度管理法、光処理法等について調査研究を行い、その調査結果がIMO等に報告されているが、どの代替方策についてもその有効性が確認されていないのが現状である。
 このような観点から本調査研究では、効果的リバラスト代替手段について調査研究および実験実証を行うことにより、本件に関する合理的な解決策および国際的な対応策の検討に寄与し、ひいては海洋生態系の保護および海洋環境保全に資することを目的として実施した。

 

 

 

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