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IV 流出油の防除

1 流出油の防除義務

 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律によると、船舶の衝突、乗揚げ、あるいは油取扱いの不注意などで、大量の特定油を海上に流した場合には、事故を起こした船舶の船長、船主や施設の管理者、油を流した人などは特定油の拡散防止、継続する流出の防止、除去という防除措置をとるよう義務づけられており、具体的な防除措置の内容は次のとおりです。

(1)オイルフェンスの展張等による拡散の防止

(2)損壊箇所の修理等引き続く油の流出の防止

(3)他のタンク等への残油の移送

(4)油の回収

(5)油処理剤による処理

(6)他の船舶又は施設への残油の移替え(瀬取り)

(7)その他の流出油防除の拙置

2 流出油の防除対策

 油が海上に流出した場合には、直ちに防除措置がとれるように油回収装置をはじめ、オイルフェンス、油処理剤、油吸着材などの油防除資機材を準備しておくようにし、またそれらの効果的な使用方法については、もよりの海上保安部署などに相談して平常から十分研究するとともに、事故を想定した訓練によって各資機材の取扱いに習熟しておきましょう。
 大量流出油事故に対処するためには、事故を起こした船舶や関係者だけでは困難な場合もあるので、官民の関係者が一体となって組織的な防除活動を行う必要があります。このため、石油コンビナート所在地、石油数を大量に扱う港湾など災害発生のおそれがある地区ごとに、海上保安部署を中心に地方公共団体、民間関係事業者などの官民の関係者からなる「排出油の防除に関する協議会」等が設置されているほか、46の地区に石油連盟の「海水油濁処理協力機構」が設けられております。

3 事故による流出量

 衝突・乗揚げなどの事故により、油タンクに破口が生じた場合に流出する油の量は、破口が水面上にあるか、水面下にあるかによって異なります。
 破口が水面上にある場合は、破口より上にある油が全部流出します。(第1図参照)
 破口が水面下にある場合は、まず破口から油が流出し、つづいて油の面が下がると海水が流れ込んできて、3のような状態になります。
(第2図参照)
 破口が水面下にある場合は、油と海水が入れかわって、全部の油が流出してしまいます。(第3図参照)

第1図 破孔が水面上にある場合

 

第2図 破孔が水面下にある場合

 

第3図 破孔が水面下にある場合

 

 

 

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