(5) 関係者の協力義務(法39-(4))
大量の特定油の排出が港内又は港の付近にある船舶から行われたものであるときは、次の者は応急措置及び防除措置に協力しなければならない。
・当該特定油の荷送人及び荷受人(当該港が当該特定油の船積港又は陸揚港である場合に限る。)
・当該係留施設の管理者
(6) 防除資材備付義務(法39の3)
次の者は、排出特定油の防除のため、船舶内その他の所定の場所に、一定規格及び量のオイルフェンス及び油処理剤、油吸着材又は油ゲル化剤を備え付けておかなければならない。
・貨物として特定油を積載している150総トン以上のタンカーの所有者
・500kl以上の特定油であって船舶に積載し、又は船舶から陸揚げするものを保管することのできる施設の設置者
・貨物として特定油を積載している150総トン以上のタンカーを係留することができる係留施設の管理者
なお、防除資材の備付けに関しては、当該資材を適切に使用することができるよう管理等が行われる必要があるので、油保管施設等については、原則として、資材を1ヵ所に備え付けておくことが適当であるが、数ヵカ所に分けて備え付けることや、船舶所有者が備付基地に共同で備え付けること等も認められている。この場合における防除資材の備付数量については、114頁の表に示すような注意すべき事項がある。
(7) 油回収船等の配備義務(法39の4)
5,000総トン以上のタンカーの船舶所有者は、当該タンカーが貨物として特定油を積載して、東京湾、伊勢湾及び大阪湾を含む瀬戸内海を航行しているときは、次のような性能及び設備等を有する油回収船又は油回収装置等(油回収装置及び補助船をいう。)を当該タンカーに3時間以内に到着できる場所に配置しなければならない。
イ. 油回収船の性能、設備
(イ) 特定油回収能力が毎時3kl以上であること
(ロ) 推進機関を有すること
(ハ) 特定油回収能力に応じ、適切な量の特定油分を貯蔵できること
(ニ) 1時間に特定油回収能力以上の特定油分を移送できるポンプを有すること
(ホ) 特定油が付着したごみ等をも回収できること
ロ. 油回収装置等の性能、設備
(イ) 油回収装置がイ.(イ) の能力を有するものであること
(ロ) 油回収装置及び補助船が一体となってイ.(ロ)〜(ホ)の性能及び設備を有することとなるもの
ハ .配備しなければならない油回収船及び油回収装置等の特定油回収能力は、タンカーの総トン数に応じ次表の数値以上であること。
(8) 油濁防止緊急措置手引書の作成、備置き等義務(法40の2-(1))
次の者は、油濁防止緊急措置手引書を作成し、これを当該施設内に備え置き、又は掲示しておかなければならない。
同手引書には、当該施設及び当該係留施設を利用する船舶から油の不適正な排出があり、又は排出のおそれがある場合において、当該施設内にあるものその他の者が直ちにとるべき緊急措置に関する事項、具体的には、連絡先のリスト、通報の際に遵守すべき事項、油の排出による汚染の防除組織・資材、直ちにとるべき措置に関する事項等が記載されていなければならない。
・500kl以上の油があって船舶に積載し、又は船舶から陸揚げするものを保管することができる施設の措置者
・貨物として油を積載している150総トン数以上の油タンカーを係留することができる係留施設の管理者
(9) 海上保安庁長官の同手引書の作成、備置き等命令(法40の2-(2))
海上保安庁長官は、(8)の者が前述した同手引書の作成、備置き等を講じていないと認めるときは、その者に対し、同手引書を作成し、又は備え置き、若しくは掲示すべきことを命令することができる。