9 廃油処理事業等(法第5章)
廃油(船舶内において生じた不要な油をいう。)の処理を事業として行おうとするときには、港湾管理者及び漁港管理者にあっては運輸大臣への届出、その他の者にあっては運輸大臣の許可が必要になります。また、自家用廃油処理施設を設置する際には運輸大臣への届出の業務が生じること等廃油処理事業等
に関連する所要の規則が定められている。
なお、これらの施設で処理する廃油は、従来からの廃重質油に加え、昭和58年の法改正により廃軽質油が加わることとなった。
10 海洋の汚染及び海上災害の防止措置(法第6章)
(1) 大量の特定油が排出された場合の措置
大量の特定油(原油、重油、潤滑油等)の排出があった場合等の措置として、通報義務、応急措置義務、防除措置義務、協力義務、海上保安庁長官の防除措置命令権、海上保安庁長官の措置に要した費用の負担、海上保安庁長官の防除現場海域からの退去命令権等が定められている。
また、海洋に特定油が排出された場合に必要な措置をとりうる態勢をととのえるため、オイルフェンス、油回収船等の排出油防除資機材の備付けが義務付けられている。
(1)通報義務(法38)
イ. 船舶から大量の特定油(濃度1,000ppm以上、油分100リットル以上のもの)の排出があった場合又は海難によりそのような排出のおそれがある場合には、当該船舶の船長は、当該排出(海難)があった日時及び場所、排出(海難)の状況、海洋の汚染の防止のために講じた措置(講じようとする措置)その他の事項を直ちに最寄りの海上保安機関(我が国の周辺海域では海上保安庁の事務所)に通報しなければならない。
ロ. 海洋施設その他の施設(陸地にあるものを含む。)から大量の特定油(濃度1,000ppm以上、油分100リットル以上のもの)の排出があった場合、又は損傷その他の海洋施設等に係る異常な現象によりそのような排出のおそれがある場合には、当該海洋施設等の管理者は、当該排出があった(異常な現象が発生した)日時及び場所、排出(異常な現象)の状況、海洋の汚染の防止のために講じた措置(講じようとする措置)その他の事項を直ちに最寄りの海上保安庁の事務所に通報しなければならない。
ハ. 大量の特定油の排出の原因となる行為をしたものは、上記に準じて通報を行わなければならない。(ただし、船長又は海洋施設等の管理
者が通報を行ったことが明らかなときは、この限りではない。)
二. ただし、これらの通報は、排出された特定油が広範囲(1万平方メートル以上)に広がるおそれのないときは、必要がない。
ホ. 大量の特定油の排出のあった、又は排出のおそれのある船舶の船舶所有者、その他当該船舶の運航に関し権限を有する者、又は施設の設置者は、海上保安機関から特定油の排出又は海難若しくは異常な現象による海洋の汚染を防止するために必要な情報の提供を求められたときは、できる限り、これに応じなければならない。
へ. 特定油が1万平方メートルを超えて海面に広がっていることを発見した者は遅滞なく、その旨を最寄りの海上保安機関に通報しなければならない。
(2) 応急措置義務(法39-(1))
次の者は、排出された特定油の広がり及び引き続く特定油の排出の防止並びに排出された特定油の除去(排出特定油の防除)のためオイルフェンスの展張、油処理剤の散布、損壊箇所の修理、残っている特定油の移し替え、特定油の回収等のうちその場の状況に応じ、有効かつ適切な応急措置をとらなければならない。
・特定油を排出した船舶の船長又は施設の管理者
・特定油の排出の原因となる行為をした者
(3) 防除措置義務(法39-(2))
これらの者の応急措置のみでは不十分な場合、さらに、次の者は、排出特定油の防除のためオイルフェンスの展張、油処理剤の散布、損壊箇所の修理、残っている特定油の移替え・抜取り等必要な措置をとらなければならない。
・特定油を排出した船舶の所有者又は施設の設置者
・特定油の排出の原因となる行為をした者の使用者
(4) 海上保安庁長官の防除措置命令(法39-(3))
前述した防除措置を講じていないと認められるときは、海上保安庁長官は、次の者に対し、必要な措置を講ずるよう命令することができる。
・特定油を排出した船舶の所有者又は施設の設置者
・特定油の排出の原因となる行為をした者の使用者