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ハ.瀬戸内海汽船( 株)[太田川(広島〜呉〜高浜〜三津浜、 夏目志津馬・ 河野善一)]

(イ) 音戸の瀬戸航法について:この航路最大の難所は音戸の瀬戸である。音戸大橋を中心に南北各100m程は、水深5mの可航幅は僅か60m、小型船といえどもすれ違いは絶対避けなければ危険である。しかも大角度変針があるので、見通しの効くのは北口・南口両浮標間約1,350mに限定される。反航船を視認後反転するには可航幅不十分、従って何れかが停止、相手船の通過を待たなければならないが、潮流強く舵効を保つだけの速力も必要となる。その結果、最狭部に近い地点で航過、接触事故を起こすケースが後を絶たない。同瀬戸の航法に関しては、研修を繰り返し細部わたり注意事項が編められ乗組員も熟知している。懇談会席上でも意見が集中したが、アドバイザーとしての助言も資料と同一である。船長が編さんされた芸予航路出会船一覧は非常に有効でその努力は高く評価される。

(ロ) 音戸の瀬戸信号所要望の件:音戸の瀬戸通狭に関し、最も欲しいものは反航船の有無情報である。常用船舶の動静は掴めているのでお互い連絡可能であるが、不特定船舶・曳き船等も多く信号所設置の要望が強い。国や自治体に働きかけたが反応が無いとのことで日海防にも協力を依頼された。人件費を要する信号所でなくとも、山間湾曲部の反射鏡の如く、赤外線利用の反射装置を音戸大橋西端の橋桁に取り付ける方法もあるのではないかと考える。

(ハ) 懇談会の席上、広島〜呉間に多いプレジャーボートの不法運転に悩まされるので規制して欲しいとの要望が出された。ボートドライバーのマナーの悪さもあるが、航法・運用に対する無知が主因をなすもので、中には無免許運転もあり、海上保安庁も対策に苦慮しているところで、なかなか難しい問題と思われる。

(ニ) 毎回繰り返される言葉であるが、知り尽くした航路、何千回と繰り返される動作の連続でマンネリ化・慣れによる油断が最も危険であることを強調し、常に初心に返る気持ちを持って欲しい旨乗組員に伝えた。

 

ニ.熊本フェリー(株)[オーシャンアロー(熊本〜島原、 佐藤尚登・ 成田一郎)]

(イ)4月から8月の欠航状況は、運航937便、欠航395便この内5月2日島原港における海難事故に起因する欠航が351便を占めている。この事故を契機に「海難事故防止対策に関する改善」が図られている。調査時においても非番の船長、一等航海士を同行乗船させ、また調査後のミーティングにおいても陸側担当者も出席し、運航管理者は陸上作業員にも意見の開示を促して会社一体となっての安全強化の姿勢がうかがわれ、社内の雰囲気は優れている。

 

オーシャンアローの運航実績

運航
48 21 32
6
36
2
18
0
93
7
航航
0 35
1
34 10 0 39
5
理由
  ? ?
?
?
?
   

?衝突事故、?荒天、?船尾ランプドアー付根部亀裂、?エンジントラブル
最近の主な改善事項:?気象・海象の収集徹底(気象情報の入手方法、周知の強化、島原港バースに風向風速計設置等)?乗組員に対する安全教育の周知徹底(毎月3日を「安全教育日」、23日を「操練日」と指定。旅客船協会ならびに関係先主催の安全講習会や研修会等に積極的に参加)?島原港における突風時の操船方法について(具体的な操船方法が決められている。)?運航ダイヤの見直し?島原北防波堤における不法係留バージに対する対策?他社に対する協力依頼(同業他社の注意・アドバイスの活用)?5月24日から31日「オーシャンアロー」完熟訓練実施

 

 

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