ハ.
広別汽船(株)[由布(呉〜広島〜別府、佐藤尚登・成田一郎)]
(イ)
船橋内の整理整頓が行き届いている。船橋には、安全運航に関する掲示物が要領良く配置されている。救命浮環、信号類、トランシーバー等も定位置に整備・保管されており直ちに使用できるようになっている。
(ロ)
安全に関する行事等の日程が定められており、実施した場合の記録が適切に行われている。総点検日:毎月1日および15日、防火・防水・救命操錬:毎月2日、安全衛生・労働日:毎月10日
(ハ) 運航管理規程、同細則(作業基準・事故処理基準)は細かく規定され完備されている。特に緊急時の連絡体制については文書が整理されている。(社内の関係者連絡先の電話番号も勤務時と自宅が併記され最新のものに修正されている。)例:「災害時の船舶による緊急輸送に伴う連絡体制」、「旅客船海難事故発生に係る連絡体制」中国運輸局(平成10年4月1日)、「広島港台風情報伝達系統図」広島地区旅客船協会(平成9年7月20日)
(ニ)
船内部署表は出入港、通常航海、狭視界航海、荒天航海、狭水道航海、溺者救助、応急操舵の別に各人の役割が定められている。(外航船社が実施しているSMコードに準ずるような、役割の明文化がなされている。)
(ホ)
非常配置表、防火作業、防水作業、救命艇作業、非常時における旅客が乗艇する救命筏等、各乗組員の役割が細かく定められている。乗組員交代のつ度、各人が役割を確認したことを把握しておくことが必要である。(交代乗船者がチェックリストに確認した日時とサインする方法もある。)
(ヘ)
航行海域の海図は、台風、狭視界等で臨時に避難あるいは錨泊する可能性のある海域を含め、できるだけ最新の情報に基づいて改補しておく必要がある。
(ト)
夜間に客室の灯火が漏れるが、見張りの障害となる時は、乗客に断って減灯したり、船橋において点灯灯火を制御するので航行の安全には支障が無いとのことである。
(チ)
離着桟時は、船長はウイングの窓を開けて船橋上の状況を見ながら操船する。この場合に船橋中央付近では静粛にしていないと音声が聞き取りにくい感じであったが乗組員は良く理解して行動していた。(運航管理者、船長の許可を得て、船橋前面中央にテープレコーダーを置いて操舵号令を録音したが、録音マイクの指向特性の影響もあって、舷側からの号令は十分に収録できなかった。)
(リ)
出入港時の乗客に対する船内アナウンスはタイミングが良く行われている。
(ヌ) その他・参考掲示物等
船橋等の要所には安全運航に関する注意事項、参考事項が整然と表示されている。
表示物の例:
・ガスだ!!(視界制限航行の注意事項)−汽笛を鳴らせ!、速力落とせ!、船長起こせ!、見張りを厳重にせよ!、航海灯をつけよ!、手動操舵に切り替えよ!、レーダープロッティングをせよ!、早めに、大きくかわせ!、前方の船をかわすときは左舵をとるな!、後ろの船をかわすときは、その船の方向に舵をとるな!、前方に霧中信号を聞いたら、舵の効く最少のスピードに落とすか停止せよ!。
・瀬戸内海「さわら流し網漁業」統一漁具標識
・
船長訓−海上法規に精通すること、常に船位を確認すること、避航は早めに大きくためらわずに行うこと、不安を感じた時、又は自信の無い時は早めに報告すること、その他危険を感じた時は早めに報告すること、船内巡視は当直下番の時に行い、巡視記録簿に正しく記入すること、下記の位置に到達した時は、必ず船長に報告のこと(上り・上の関並行2マイル前:小黒神並行、下り・大畠No.5灯浮標並行:灯篭鼻並行)※総点検日(毎月)1日および15日、※防火・防水・救命操錬(毎月)2日、※安全衛生・労働日(毎月)10日
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無事故の記録−自社作成のポスターのカレンダー上の日付を、毎日事故の有無を確認し無事故は青、事故は赤で塗りつぶしている。本船は年初から無事故となっている。
・船内巡視実施要領
・巡視時刻:船内巡視は出港後および発航2時間経過毎に行うものとする。但し荒天時や危険物の積載した車両を輸送する場合、その他船長が必要と認める時は定刻巡視のほか適時巡視を行なわせる。
・巡視者:船長は海員のなかから巡視者を定め、巡視の目的・場所、巡視に当たっての注意すべき事項および異状を発見した場合の措置等について、日頃十分教育を行っておくものとする。
・巡視事項:巡視者は巡視経路に従い(夜間は特に注意し)下記の事項について十分配慮すること?非常口・脱出経路・昇降設備・出入り口に通航を困難にする物品が放置されていないか。?標識が完全に表示されているか。?水密戸その他開閉装置が完全であるか。?防火・救命脱出その他諸設備は完全であるか。?機関室の当直は万全であるか。
・ 異常を発見した場合の措置:巡視に当たって異常を発見した場合には必要な措置をとり、かつ当該責任者に通報する。