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(2)短距離フェリー

イ. (泊〜阿嘉〜座間味)

 「クイーンざまみ」は、平成7年に進水した単胴型高速旅客船(ウォタージェット)で、良く整備されていた。
 往航時は船体動揺が大きく、船長から乗船者に対してマイクにより動揺に対する注意が喚起されていた。また、動揺軽減のためのコース取りにも配慮されており、安全運航に対する基本的姿勢の現れであり、今後とも継続していただきたい。

ロ. (泊〜真泊〜渡名喜)

 昭和54年進水の船齢18年の高速旅客船であるが、船齢のわりには良く整備されていた。

ハ. (宇品〜呉〜高浜〜三津浜)

 ライフジャケットの装着方法の図示、また脱出経路マークが少々少ないと思われたが、テレビ放映も行っているとのことで十分と了解した。緊急時救命設備として、船橋後部両舷外側に救命筏5個、浮環2個づつ配備され、取扱いは定期的に操練を行っているとのこと、整備は良好と推測される。車両甲板には、火災時のスプリンクラーの設置は無く、消火ホースと持運び式消火器が配備され、整備状況は良好と認められた。(車両甲板は密閉型ではない)

ニ. (熊本〜島原)

 熊本、島原両港とも干満差の大きい港であるが、旅客の乗下船設備は高さの調整が可能な昇降路が完備され、旅客の案内・誘導が適切に行われている。船内脱出路、救命胴衣装着法、旅客への注意は適切に表示されており、要所には現在位置を理解し易いようにここはNo.3デッキと言うような表示がなされている。船に不慣れな乗客には有効な表示である。

ホ. (鮎川〜金華山)

 旅客の乗下船に際しては、鮎川・金華山とも最大潮高差1.8mあるので、潮位に応じて乗下船甲板を選択し、岸壁に常備している舷梯を使用する等している。救命胴衣は、良態に保持され適切に格納されている。

ヘ. (宇品〜呉〜高浜〜三津浜)

 旅客および車両の安全輸送に関する諸施設、機器の現状と保守、整備状況は概ね良好であった。

 

<検討事項>

イ.(泊〜阿嘉〜座間味)

 非常警報の説明板が客室内の2個所に取り付けられているが、いずれも小さくしかも目立たないものであった。もう少し目立つものにする必要がある。また、客室内に掲示されている"非常の際の心得"には、『・・お乗りになる救命筏は、係員の・・』という表記がある。本船の救命設備には救命筏がなく、注意書きについて救命浮器が備え付けられている旨に訂正する必要がある。
 操船性能表が主機操縦スタンドの下(操舵員の右足下)にあり、見つけ辛いので、目に付き易いところに張り直すべきである。

ロ. (泊〜真泊〜渡名喜)

 乗下船用のタラップは、可搬式の軽合金のものであったが、船側の取り付けを十分に行い、手摺りとなるハンドロープを取り付けたのち、乗客を乗下船させるべきである。タラップが掛かると直ぐに乗下船を始めていた。
救命浮環に貼付されている再帰反射材の劣化がみられる。非常時にしか使用しない物品であればこそ、日頃の整備が望まれる。

ハ. (宇品〜呉〜高浜〜三津浜)

ライフジャケットの整備状況は良好であるが、格納場所の表示が1部、例えば長椅子の下等の目に付かない所にあり、位置変更を指示した。

ニ. (熊本〜島原)

 各種の表示は適切であるが、できれば掲示配置図の現在位置のマ−クも目に付き易いものが望まれる。

ホ.(鮎川〜金華山)

救命浮器は、遊歩甲板の屋根に格納されているので、緊急時に迅速に対応できるように訓練しておく必要がある。消火器は、適切に維持されているが、消火ホースノズルの整備にさらに注意を払うことが望ましい。

 

 

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