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5.旅客および車両の安全輸送に関する諸施設、機器の現状と保守、整備の状況(救命、脱出、消火、その他保守に関すること。)

 

(1) 長・中距離フェリー  

イ. (青森〜函館)

 車両甲板、機関室に監視用モニターを4個所設置してあり、当直員は有効に活用していた。出港後直ちに船内巡検を実施し当直航海士に状況を報告すると共に、旅客室内空調設備の調整を実施していた。車両止めは良好であった。

ロ. (大阪南港〜新門司)

 往復とも、ほぼ満船状況であったが、積載状況も良かった。前回指摘した脱出経路指示標識に関しても、矢印が高低2個所に設置する等の改善の跡が見受けられた。

ハ. (呉〜広島〜別府)

 ライフジャケットについて:各部屋の収納ロッカーに点検日を記した紙ラベルでシールしてある。ロッカー内には、ビニール袋等で包装せず、直ちに使用できる状態にしてあるとのことである。4人部屋の例:大人用4、子供用1、H10.5.1点検。

ニ. (鹿児島〜屋久島)

 旅客の下船に際して、船側の下船準備が確実にできるまで、エントランス・ホールと舷梯口のドアを閉鎖し、旅客が舷梯口に近づかないようにしていた。今後ともこの態度を維持していただきたい。
A甲板およびB甲板、ならびにC甲板のエントランスは、米松を敷き詰めた木甲板である。甲板流しと清掃という日常の手入れは、少ない乗組員にもかかわらず極めて良好に保存手入れがなされていた。雨天で濡れたとき、鋼甲板のようにスリップする恐れが少なく、さらに旅客出入り個所にはノンスリップマットが置かれ、旅客の安全対策にも細心の心遣いがなされている点は、今後とも継続して心がけていただきたい。

ホ. (東京→父島)

 旅客の乗下船装置は、安定堅固に装備され、傾斜も緩やかで床面には滑り止めが施されている。身体に障害のある旅客の乗り降りには、乗組員が介助する等配慮が行き届いていた。船内は清潔で、客室も良く整頓されていた。救命胴衣格納箱の扉は、シールで閉じてあり、緊急時には容易に取り出せるが、旅客にいたずら(枕代わりに使用する等。)されないように工夫されていた。消火器・消火ホースの装備状況は良好であった。父島には荷役設備がないから、コンテナ、車両等荷役はすべて本船のデリックを使用して行われている。貨物の積み付け状態は良好であった。

ヘ. (川崎〜宮崎)

 車両甲板への出入り口にはセンサーが設置され、航泊を問わず人が近づくと「車両に注意するよう」自動的にアナウンスされるのはたいへん良いアイデアである。航海中には、車両甲板への出入り口は完全に閉鎖されていた。

 

 

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