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4.航海計器等の活用状況について

 

(1) 長・中距離フェリー

イ. (青森〜函館)

 レーダーは見張り、衝突回避等に有効に活用されていた。同行船/行会い船の意志確認にVHFを有効に活用していた。

ロ. (大阪南港〜新門司)

 大阪南港〜新門司間13時間の夜間航行の反復である。レーダーによる情報が主要な見張り要素である。船橋前部に設置されたARPAレーダー2基が常時有効に利用され、本船位置のみならず他船の針路速力等が適宜船長に報告されていた。

ハ. (呉〜広島〜別府)

 ジャイロレピーターが船橋中央の外に右舷側(左舷側には無い。)に1基あるが、右舷側のものにはシャドウピンを立ててなく常用されていない。貨物船のような前方視界を遮る構造物が無いため、操船は船橋中央のレピーター1基のみを使用しているが、特に不便はないとのことである。航行中にクロスベアリングによって海図上に船位を記入することを行っていないので、舷側のレピーターの必要性を感じないものと考えられる。
レピーターの高さが低い(椅子に座っての当直には良い高さであるが……)が不自由はないとのことである。

ニ. (鹿児島〜屋久島)

 RADAR、ARPAは、船位の確認や他船の動静確認のため頻繁に利用され、作動状況は良好である。
 台風接近時には八代湾の水俣付近で避泊することが多く、そのため音響測深機も良好に整備され、活用されていた。水深の測定記録状況も良好であり、水深の判読には支障なし。
 日本語NAVTEXが設置され、航行警報や気象海象情報の収集には極めて有効に活用されている。

ホ. (東京→父島)

 レーダー(ARPA)・電子海図・GPS・ロランC等最新の航海計器を装備しており、十分活用している。

ヘ. (川崎〜宮崎)

 レーダーは2台装備されており、状況により使い分けされていた。コンパスベアリングとレーダーからの情報で船位を求め、確認のためGPSが使用されていた。

 

<検討事項>

イ. (呉〜広島〜別府)

 船長操船時のレーダー担当者は、双眼鏡を併用すべきである。レーダーでは刻々変化する他船の姿勢は判断できない、レーダーでとらえた物標が操船者の眼にどのように見えているか、自分の眼で確かめながら報告をする(報告を受ける者の身になって)とその内容が理解されやすい。「○○番ブイの右に反航船があります。」と言うよりも「○○番ブイの右に反航船があります。両舷灯が見えます。」と言ったほうが目視での操船者にとっては親切な報告となる。
ジャイロエラーは船長が出港前の着岸状態における船首方位で異常のないことを確認している。(磁気コンパスは、照明を消した状態になっているが、ジャイロエラーのチェックの際には磁気コンパスもチェックすると良い。会社によっては、着桟時の船首の真方位と磁気コンパス方位を記載したカードを操舵スタンドに備えているところがある。)出港配置についた時に、操舵手が「船首方位、ジャイロ○○度、マグネット○○度」と報告するようにすれば、船長・操舵手が交代しても必ずチェックされる体制となると考える。

ロ. (東京→父島)

 自差表は、常時磁気コンパスの近くに備えて置くべきである。

 

 

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