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<検討事項>

イ. (泊〜阿嘉〜座間味)

 我々が乗船したためか、船長はじめ乗組員の緊張した様子が窺われ、声が少なくまた小さかった。気心の知れた間柄であろうが、船内巡視の開始報告、船首・船尾への配置開始報告等々の情報伝達に関する操船執務上の会話は、大きな声で基本に則って交換すべきである。
 操船制御盤の上が、やや乱雑であると見受けられた。もう少し書類関係を整理し、直ぐ手の届くところに双眼鏡を置くべきである。
 船長を含め4名の運航体制である。船長の操船は慎重で技術的にも優秀であった。また乗組員の執務状況も概ね良好であった。操船要領については特にアドバイスを必要とする場面はなかったが、離着岸に慣れた岸壁であっても、風向や風力、潮流といった外力の影響は常に一定ではなく、慎重のうえにも慎重さが必要とされる点は言うまでもない。入港時の接岸速力は、機関操作の容易さと機関応答の素早さから判断すると、通常の操船には支障ないかもしれない。しかし、着岸直前の機関故障とかその他不測の事態に対する緊急対応策は、船体構造上錨の使用が直ちにできない点も含めて、予め検討しなければならない点と思われる。

ロ. (泊〜真泊〜渡名喜)

 操船要領については特にアドバイスを必要とする場面はなかったが、離着岸に慣れた岸壁であっても、風向や風力、潮流といった外力の影響は常に一定であることはなく、慎重であるうえにも慎重さが必要とされる点は言うまでもない。入港時の着岸スピードは、機関操作の容易さと機関応答の素早さから判断すると通常の操船には支障ないかもしれない。しかし、着岸直前の機関故障とかその他不測の事態に対する緊急対応策は、船体構造上錨の使用が直ちにできない点も含めて、予め検討しなければならない点と思われる。
 操船の交代・機関当直の交代時は、責任者の交代であることを意識するとともに、当直交代要領に従い声を出し、情報の交換を行いながら明確な交代をすべきである。例「針路、速力、周囲の状況、気象海象の変化、他船の状況等」
 巡検開始時および巡検終了時には、操船者にその旨を明確に報告すべきである。(報告例)「巡検に行って来ます。」、「巡検終わりました。異常ありません。」
 出入港時、船首・船尾からの報告が無く、作業状況が不明確である。
 船長の許可無くタラップの付け外しを行っている。船体が岸壁へ確実に係留されたことを確認したのち、船長の許可を得てタラップの付け外しをするべきである。船長は、タラップを付ける状況になったら明確な合図を出すべきである。
 我々アドバイザーが乗船していたためか、船長はじめ乗組員の声が非常に少なく、また小さかった。気心の知れた間柄であろうが、操船を含み執務上の会話は、大きな声で、基本に則って交換するべきである。操船の引継ぎ、船内巡視の開始報告、船首・船尾への配置開始報告等々の情報伝達にかかる声はもう少し大きく、そして明瞭にすべきである。

ハ. (鮎川〜金華山)

 往路航海中に、安全対策として船長が舵、機関長が速力操作を行い、命令・復唱して互いにチェックするのが望ましい旨指導したところ、運航管理者の指示で、復路において実行していたが、初めてのことでぎこちない感じであった。

ニ. (宇品〜呉〜高浜〜三津浜)

 一定の航路を短時間で離着桟することの繰り返しで、慣れによるマンネリ化の操作ミス、判断ミスをする可能性はあると思われる。漫然を戒め日々新たな気持ちで勤務することを要望する。

 

 

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