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2.海上衝突予防法等の航法諸規定の遵守状況について

 

(1) 長・中距離フェリー

イ.(青森〜函館)

 航海速力35ノットの高速船のため、早期避航を積極的に実施していた。高速フェリー運航マニュアルを十分遵守している。

ロ.(大阪南港〜新門司)

 航法諸規定は良く守られていた。往航(下り便)来島海峡は転流時期に当たるため、スピードを調整して北流転流直後、中水道を通過した。9〜10ノットの先行船2隻あったが、速度を調節し十分な船間距離を確保し最狭部での無理な追越しをせず、通狭後追越し信号(発光併用)を行って追越す等、安全運航に心がけていた。

ハ.(呉〜広島〜別府)

 航法諸規定は遵守されている。

ニ.(鹿児島〜屋久島)

 鹿児島湾ではフェリーや漁船、あるいはプレジャーボート、そして喜入港入出港の大型タンカー等の大小さまざまな船舶と遭遇する。大隅海峡では、東西方向に航行する船舶と横切りの関係で出会うことが多い。特に、屋久島から鹿児島へ向かう北航に際しては、大隅海峡を西航する小型鋼船やコンテナ船と遭遇することが多いが、他船の早期発見と複雑な見合い関係にならないように、早期避航を励行していた。
 日中の航行を常態とし、双眼鏡(7×50)を用いた目視による見張りを中心として行いながら、航法諸規定は良好に遵守されている。

ホ.(東京→父島)

 本航路は、洲の埼を境に航行船舶の密度が大きく異なる。東京−洲の埼間はほぼ船長が指揮を執り、航法規定は遵守されていた。また、入港・出港とも昼間であるので、付近航行船舶とVHFで連絡を取って進路を譲り合う等安全運航に対する積極的な姿勢が窺われた。洲の埼−父島間は航行船舶が少ないが、航法規定は遵守されていた。

ヘ.(川崎〜宮崎)

 海上衝突予防法等の航法諸規定の遵守状況は良好である。出港時の浦賀水道航路の通航等、船舶輻輳海域における船間距離も適切であり、不安は感じなかった。

 

<検討事項>

イ.(青森〜函館)

 視界制限時には、船橋に在る当直機関士も機関当直業務に支障の無い限り、見張りに従事されたい。

ロ.(呉〜広島〜別府)

 下り便、広島港出港時、防波堤の入り口至近で他船とすれ違ったが、出港船が十分に入り口付近をクリアーしてから他船が入港することが望ましい。(このケースは、本船が防波堤の入り口の外に出た後に、他船フェリーが入港するべきである。)
上り便、広島港入港時、出港船2隻あり、2隻が防波堤の入り口付近通過を待って本船が入港したが、防波堤入り口への接近がやや早い感じを受けた。上り便、下り便ともに気象状況は良好で、互いに針路が予測できるフェリー同士であって危険を感じるものではなかったが、気象状況が悪い時、あるいは汽船以外の船が両フェリーの間に入って来ることがあるかも知れない。このような場合も想定して入港船はできる限り出港船が十分クリアーになってから防波堤の入り口に接近することが望ましい。(乗客の多い時間帯には、各フェリー会社の運港スケジュール上、防波堤入り口付近で入出港船が行会う機会が多くなっていると考えられる。互いに知れた船同士であっても状況によっては予測されない行動をとることも有り得る。十分な間隔と注意を持って入出港することが重要である。)

 

 

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