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(2) 短距離フェリー

イ.(泊〜阿嘉〜座間味)

 当社は、平成3年7月就航の高速船「クイーンざまみ」と本年5月(先月)から新造代替フェリー「ざまみ丸」を、那覇港/泊埠頭〜阿嘉島/阿嘉港〜座間味島/座間味港間に就航させており、地元住民の脚として、さらに観光客のアクセスとしてそれらの重要性が認められる。
 運航管理規程をはじめとする諸規程は、平成3年7月の就航に合わせて新たに作られたものでよく整備されていた。運航管理規程およびその規定に基づく運航基準、作業基準、事故処理基準について、それらの遵守状況は概ね良好であった。
 昨年12月の乗揚げ事故の反省に基づき、乗組員一同は、諸規程をよく遵守していた。
 往航時、前日からの風波が残り海上はやや波が高い状況であったので、船長は運航管理者と相談し、第3基準航路を採用し動揺を抑えながら安全運航に心がけていた。また船長自ら海面模様が悪いことをマイクで旅客に説明していた。旅客の安心感を高めることとなるので、この姿勢を続けていただきたい。

ロ.(泊〜真泊〜渡名喜)  

 当社は、昭和25年に創業され、昭和49年以降、沖縄県那覇港泊埠頭から久米島の兼城・真泊と渡名喜島の渡名喜に就航するフェリ−を運航し、20年以上にわたるフェリーの運航実績を持っている。また、高速船の運航についても昭和62年8月に就航以来、10年以上にわたり地元住民の脚として、さらに観光客のアクセスとしてそれらの重要性が認められる。
 運航管理規程をはじめとする諸規程はよく整備されていた。
 運航基準第2章(運航の中止)、第3条(基準航行の中止)に掲げられる「動揺」基準の記載がない。基準航行を継続した場合の対応として、基準航行の中止基準として掲げられる風速と波高が同一であっても波向と針路との関係により画一的な動揺基準を示すことは難しいと考えられる。また、第3条第1項に記載されるように、旅客の歩行が著しく困難になる恐れがあると認められる場合には基準航行の中止が規定されているので、「動揺」欄は、削除して差し支えない。
 昨年度(平成9年度)の運航回数は167日で、欠航回数54日(ドックを除く)であることを見ても、運航中止基準等をよく遵守していることが伺われる。(本高速旅客船は、冬分の11月〜3月の間、運休している。)
 訪船当日、前線通過で時折驟雨によって著しく視界が制限される状況となり、見張りの強化も速力の調整もよくなされていた。今後ともこのようであって欲しい。
 訪船当日のようにしけが多く運航ダイヤの遅れることが多々ある。離島航路であり、1日1便(往復)であることにより、那覇港や久米島で時間的余裕があるので、乗組員も乗客も、焦らずゆとりのある態度が見られた。時間の余裕が安全運航に寄与していると窺える。

ハ.(宇品〜呉〜高浜〜三津浜)

 運航管理規程(含、運航基準、作業基準、事故処理基準)は一応整備され、その遵守状況は良好と認められた。

ニ.(熊本〜島原)

 規定および基準は詳細に規定され、それぞれ適切に遵守されている。第2便において運航中止の事態が発生したが、船長、運航管理者ともに運航管理規程(運航の中止、運航管理者の指示、運航管理者の援助措置)等は手際良くかつ忠実に実行された。
 船内巡視は下記の項目を点検し、「船内巡視記録簿」に結果を記入している。
 ?船橋・遊歩・甲板および立入禁止場所の施錠索に異常はないか。?救命浮器・救命浮環の離脱状況は良好か。?客室および旅客の状況・冷暖房機器に異常はないか。?船橋・客室・車両甲板の消火器、消火栓、消火設備は完全か。?救命衣は完全か。また着用法その他の掲示は完全か。?脱出経路にそった通路の確保・矢印は完全か。?車両の個縛は完全か。積載車両に異常はないか。?各甲板倉庫・ペンキ倉庫・プロパン庫は異常ないか。?調理室・船員室は異常ないか。無人の火気はないか。?火気厳禁場所での禁煙は守られているか。?巡視者船橋報告

ホ.(鮎川〜金華山)

 乗船前の打合せ時に、運航管理規程等の不審な点や誤植箇所について確認した。運航管理規程、諸基準の遵守状況は良好であった。

ヘ.(宇品〜呉〜高浜〜三津浜)

 運航管理規程、運航基準を始め諸規定は良く整備され、概ね良好に遵守されていた。

 

 

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