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<検討事項>

イ.(大阪南港〜新門司)

 当直交代時および船長昇橋時の船長への引継ぎに一層の留意が望ましい。

ロ.(鹿児島〜屋久島)

 平成6年8月24日から施行されている運航管理規程は、輸送の安全確保を目的とし、  ?運航基準、?作業基準、?事故処理基準という三つの具体的な基準がある。それらの規程と諸基準について、次のような点を検討していただきたい。

[運航基準について]

(1)第2条(発航の中止)第3項について

 知林島付近の視程が記載されているが、知林島付近の視界を知る手だてがない。都井岬等の実際に視界を知ることのできる地点を表記すべきである。

(2)第6条(運航基準図)について

 運航基準図とは別に分図、別表あるいは基準表が作成され運航の参考資料として準備されている。分図、別表あるいは基準表に示される内容は、運航基準図に集約できる内容のものであり、簡潔な資料として今一度検討していただきたい。

(3)第7条「基準経路」について

 ここでは「基準経路」と記載されているが、運航基準図別表・運航基準表では「標準航路」となっており、単一経路のみ記入されている。運航基準図別表・運航基準表には、正確に「常用(第1)基準経路」と「第2基準経路」を記入すべきである。また、第2基準経路の使用基準の表記が、「……………風向NW10mから12m以上の場合」となっており、基準として曖昧である。明確にされたい。

(4)第8条(速力基準等)について

 本船のプロペラは、CPP(可変ピッチプロペラ)であるので、毎分機関回転数の表示に加えて、速力区分に応じた翼角(Pitch Angle)表示を追記する必要がある。なお、航海船橋コンソールには、翼角表示を含んだ適切な速力基準表が貼付されている。

(5)運航基準にはワープロミスが散見されるので、校正し修正する必要がある。

[作業基準について]

(1)第13条(離岸作業)について

 鹿児島港において、右舷係留から出港する時、船尾を左舷側に大きく振るため船首スプリングを残し、機関を前進微速とする一般的な操船要領であった。船首スプリング(70m/mФ:ポリプロピレン索)は、それのみで前進力を支えることとなり極度に緊張した状態となる。船首スプリングのライン延長線上に綱取り係員とその至近距離には数名の見送人がいた。船首スプリングという係留ホーサが切断し、綱取り係員と見送人が跳ね飛ばされる危険がある。船長談によると、会議のおりに再三再四その点を注意喚起しているということであった。労働時間短縮に伴う人員確保の難点も理解できるものの、第13条に規定される陸上作業指揮者が不在のためであろうと思われる。しかし、人身事故が発生してからでは間に合わない。陸上作業員が作業基準を遵守できる安全対策をさらに検討する必要がある。

ハ.(東京→父島)

 運航基準図は、より正確なものが望ましい。

ニ.(川崎〜宮崎)

 運航管理規程等の諸規定は、平成10年4月1日全面改正されていた。ただし1部に用語の不統一、誤植等が見られる。

 

 

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