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9. 現存船の安全基準の見直し(SOLAS第VII章第9及び第12規則の改正)

 

9.1 この問題の討議の中で、当小委員会は以下を想起した。

 .1 BCH 24は、BCHコード及びGCコードを強制化するというドイツ提案(BCH 24/8/1)を審議し、当該両コードの古い船への適用をSOLAS条約で強制化するという提案の審議は政策的な決定を要する問題であることで合意し、MSCに対しガイダンスを示すよう求めた。

 .2 MSC 65は、ドイツ提出文書(MSC 65/21/1)を基に本件を審議し、本件の検討をBLG小委員会に委託し、現存ガス運搬船の安全記録及びドイツ提案の影響範囲も審議するよう指示した。

 .3 BLG 1では提出文書がなく本件の進展はなかった。加盟国及びSIGTTOは、MSC 65/21/1にあるドイツ提案を吟味し、現存ガス運搬船の安全記録及び当該提案の影響範囲についてのさらなる情報を自らのコメントとともにBLG 2に提出するよう招請された。検討にあたっては、祖父条項の適用のためのガイドラインに関するMSC 66の成果を考慮すべきとされた。

 

9.2 当小委員会は英国提出文書BLG 3/9及びBLG 3/INF.2を審議した。これら文書で英国は、

 .1 IGCコードに適合することが実行に適さないと考えられる建造時期の早いガス運搬船であり、少なくともGCコードの現存船に対する要件に適合することを条件として、IGCコードの適用を免除されているものについて、SOLAS条約によりGCコードを強制化するよう提案する。(BLG 3/9)

 .2 現存するガス運搬船の安全記録についての研究プロジェクトの概要を提供する。(BLG 3/INF.2)

 

9.3 日本代表は、GCコードの適用強制化に反対し、次のように述べた。

 .1 英国の提案が、SOLAS 74を改正してGCコードを強制化するというものなら、それはガス運搬船の安全増進に実質的な効果を持たず、SOLAS改正を発布するという行政上の負担を生み出すのみである。なぜなら、GCコードの対象とするガス運搬船は実用上すでにGCコード適合証書を所持しているように見えるからである。

 .2 他方、英国提案が現存船のためのGCコードの対象となるガス運搬船の品質を向上させようとするものならば、当該提案は事実上GCコードを現存船に強制化することとなる。

 .3 後者の場合、提案のもたらす経済的な影響を、現存船のためのGCコードの規定に適合し、もしくは適合していない古いガス運搬の数についての統計データの分析により評価すべきとなる。

 

9.4 英国提案をしばらく議論した後、当小委員会は、発言した代表者の多くが、SOLAS条約の下GCコードを強制化することに好意的であったことを銘記し、英国代表に対し、祖父条項の系統的な適用のための暫定ガイドライン(MSC/Circ.765)を考慮し、運営と作業方法についてのガイドライン、特にそのパラグラフ18に従い、GCコードを強制化するためSOLAS条約改正が必要であることの根拠を示す文書を、そのような改正がもたらす影響を含め、改正SOLASとGCコードの案文とともにMSC 70及びBLG 4に提出するよう招請した。

 

9.5 本件の完了目標期日が1998年であることを銘記し、当小委員会はMSC及びMEPCに対し、本件の完了目標期日を1999年に延長するよう要請された。

 

 

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