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8. 油タンカーで毒性物質を含む貨物を輸送する際の人員保護要件

 

油タンカーで有毒物質を含む貨物の輸送に従事する人員の保護

 

8.1 当小委員会は、以下の二つの代替案を示したノルウェー提出文書(BLG 2/7)をBLG 2において審議したことを想起した。

 .1 代替案1:SOLAS第VII章に「危険物を運送する油タンカーの構造及び設備」と題する新パートDを追加する。

 .2 代替案2:SOLAS第II-2章の対象範囲に健康安全の視点を含めるよう改正し、同章に新安全衛生要件を追加する。
また、ノルウェーが提案した、油タンカーの安全衛生要件を油タンカーコードの中に含めるという第3の代替案は、BLG 2の議題項目「MARPOL 73/78附属書I及びIIの身直し」でのコード提案についての議論の中で取り下げられたことを想起した。

 

8.2 当小委員会は次に、ノルウェー提案(BLG 3/8)を審議し、この項目をBLG 4の議題に残すこととした。これは、有毒物質を含む貨物の輸送に従事する人員の保護要件を策定するためには船員の揮発性溶剤への暴露水準についての化学的証拠を得るためなお時間が必要だからである。当小委員会は討議の中で、BLG 2において作業者の安全衛生は重要な問題であるが、何らかの決定を行う前に問題の程度をさらに評価する必要があると合意されたことを想起した。これらにより、船員の揮発性溶剤への暴露水準を用意して適切な専門家がその意味を正しく評価する必要があることが合意され、加盟国は、上記パラグラフ8.1に示す二つの代替案を考慮しながら関連要件策定のための提案をBLG 4に提出するよう招請された。

 

8.3 この点に関し当小委員会は、本件の作業は有害物質を含む貨物の運送に従事する船舶の構造及び設備による人員保護のための手段と関係することで合意した。これらの手段はたとえば、通風、閉鎖、扉、特殊警報等である。

 

8.4 同じ文脈において、当小委員会は、文書BLG 3/17を審議した。この文書では豪州が、労働時に発生する海上輸送有毒化学薬品への暴露の問題はなにも化学薬品タンカーに限ったことではなく、油タンカーでもガス運搬船でもコンテナ船でも貨物船でも同様の危険にさらされているとして、船上で人員がさらされ得る物質を網羅する労働衛生のための統一基準一式を策定するよう提案している。海員のための物質データシートの詳細な様式も合わせて提案しており、さらにこうした情報の準備と使用の要件はSOLASに組み込まれるべきと提案している。

8.5 議論の末、当小委員会は豪州提案の基本要素は当小委員会の作業計画に新たな項目を含めるものであると認め、豪州に対し運営及び作業方法についてのガイドライン(MSC/Circ.816)の関連規定を考慮し、適切な文書をMSC 70に提出するよう招請した。

 

8.6 豪州文書の討議の中で当小委員会は、労働衛生の問題は当小委員会の権限範囲に留まるものでなく、この問題を正しく扱うには衛生もしくは医学上の事項に関する何らかの専門的技術及び知識が必要となり、また、労働衛生の問題はILO、WHOのような他の国際機関の権限事項でもあることを銘記し、MSCに対し上述の豪州提案の審議にあたっては、いずれの小委員会で本件の検討作業を行うべきかを決定したならば、前述の国際機関に作業に加わるよう招くための手配の要否を決め、要すればいかなる手配をすべきか(すなわち、IMO/ILO/WHO特別作業部会の設置が可能か)決定するよう招請した。この文脈において、ノルウェーの化学薬品タンカーの船員の疾病率(MSC 60/21パラグラフ20.34及び20.35)についての研究(MSC 60/INF.2)が参照できる。

 

8.7 MSC及びMEPCは、本件の完了目標期日を2000年に延長するよう要請された。

 

船上労働安全衛生プログラムの基本要素

 

8.8 当小委員会は、米国で開発中の船上安全衛生プログラムの基本事項についての合意形成案の進捗に関するBLG 2への米国提出文書(BLG 2/INF.12)の情報を最新化するため提出された文書BLG 3/INF.13(米国)にある情報を銘記した。

 

 

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