8.バラスト水中有害水生生物
序論
8.1
当委員会議長は、多年にわたって、バラスト水と共に有害水生生物・病原体が移動する危険性を最小化するためのバラスト水管理・制御方策策定に努力が払われたことに注意を喚起しつつ、バラスト水関連事項を紹介した。
同議長は、2つのIMO総会決議が既に採択されていることに加え、MEPC及びMSCが、さらに本件に係る法規制を策定するという要請を銘記した。
同様に、関連小委員会が、洋上バラスト水交換の安全性に係る問題を検討中であり、また、バラスト水作業部会は、当委員会による審議のため、規制案及び関連コード案をセットとして仕上げた。
当委員会議長は、現段階以降は、当該規制案セットの発効要件検討等、当該規制の法的枠組みに係る問題点の解決に最大限の努力を払うべきことを指摘した。
同議長の紹介に続いて、当委員会はMEPC 41におけるバラスト水作業部会報告書(MEPC
42/8)審議し、かつ、大筋で承認した。
法的枠組み
8.2 当委員会は、バラスト水管理・制御要件のための法的枠組として、次の三つの選択肢を銘記した。
.1 MARPOL 73/78改正によるバラスト水要件の編入
.2 MARPOL 73/78新付属書追加のための新議定書策定
.3 新条約策定
8.3 ICSからのオブザーバーは、決議A.868(20)のガイドラインを引用して、いくつかの国々が、有害水生生物から当該各国の環境を防護するために当該ガイドラインを用いていることに言及した。(MEPC
42/8/7)
ICSは、新条約の創案が、当該既存ガイドラインの効果に寄与することはなさそうだと思っており、将来の努力目標は、新条約起草よりも、むしろバラスト水管理選択肢に係る安全事項の策定とすべきであると述べた。
8.4 多数の代表団が、彼らの見解として、有害水生生物の移動を最小化するためのバラスト水制御・管理に係る、地球全体として適用できる国際統一基準の制定を再優先すべきことを強調した。
ノルウェー代表団は、国家又は地域機構による"バラスト水管理区域"制定を提供する地球規模の法的手段を提案し、当該区域に向かい、かつ、当該区域内を航行する船舶に対して、バラスト水規制を適用すべきことを提案した。
いくつかの代表団がこの提案を支持した。
英国代表団は、規則が、地域協定のための規定を含むよう、十分な柔軟性を持つべきことを提案し、また、MEPC
43による審議のための案文を用意することを引き受けた。
8.5 いくつかの代表団が、MARPOL 73/78はバラスト水要件のための法的枠組みを提供すべきという見解を表明した一方で、他の代表団は、予想される包括的ポートステートコントロール(PSC)による措置という観点から、MARPOL
73/78は規制のための正当な手段となり得ないので、新条約制定を検討すべきことに言及した。
若干の代表団は、地球的規模で適用される法規制策定の必要性を支持するものの、法的枠組みの形式については会期中間期において検討し、かつ、MEPC
43において審議することを望んでいた。
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