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 ○ ペルー沿岸における航路制度の導入に関しては問題がないと思われるが、国連海洋法条約第43条に関する対応について説明して欲しい。

 △ 日本は当該利用国には入らないと認識している。

 △ 米国東方沿岸での船舶通報制度に関しては、航行安全という問題だけでなく、クジラの問題としても論議される可能性がある。また、本提案については、クリントン大統領自らが提案したとの外信があった。これは推測であるが、アメリカは環境保護団体の力が強く、実務的にこの船舶通報制度によりクジラが助かる助からないというよりは、環境保護団体に対するアピールとして捉えた方が適切であると思われる。

 ◎ COLREGの改正に関して、高速船の定義がはっきりしていないと、17、18条と言ってもしょうがない。また、18条で避航関係をはっきりさせないで17条に入れるというのであれば、ますますあやふやになってしまう。(※ 第16条:避航船の動作、第17条:保持船の動作、第18条:各種船舶間の航法)そうなると、なぜ高速船が保持船になるのかという根源的な問題が抜けてしまう。これに関しては造船学的な視野から見る方法もあるが、運用上の問題からCOLREGを考えていかなければならない。速力がどうであるという問題は、帆船と動力船の定義と同様に考える必要がある。動力を有している帆船が、動力を使用せずに帆のみを利用して航行しているときには帆船であると定義され、また、動力を使用して航行している時は動力船と定義されており、これはその船が持っている性能によってではなく、運航されている状態によって定義がなされているということである。高速船についても、ある速力以上で走る性能を有している船舶を高速船とするのか、または、ある速力以上で走っている状態にあるときに高速船とするのか、しっかり定義されなければ船舶の運用上困ったこととなる。 まず第3条で定義し、18条で相関関係を定義し、その上で16条、17条で処理をしていくのが本来である。

 □ 日本では先行避航ということが言われており、これは避航船、保持船の関係に至る前に、そのまま行けば保持船になる方の船が早目に避けるという意味で使われていると思う、これと今の高速船の航法がどのように絡むのか、また、先行避航という言葉自体にも問題があり、その言葉が一人歩きする前に検討する必要があると思われるが・・・・。

 ◎ 船というのは基本的に自由に航行できる。あるパターンにあてはまった時に、定められたパターンで処理されるものであり、先行避航はそれに属さず、予防法の議論ではないと思われる。

 ○ COLREGに関しては、本委員会においても整理した形で議論を進めていってはどうか。

 ◎ 他国の提案に対してどのように対応するかではなくて、日本としてはどうなんだ、という形がとれれば良いのではないかと思う。

 △ 検討していきたいと思う。
 (NAV44対処方針/海上保安庁水路部企画課対応分)

 

 

 

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