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 ○ 前回NAV43でRCDSの性能基準案が討議されたが、あのようなものであれば満足できるものである、ということか。

 △ 前回の性能基準案では、アラーム機能がない等、ECDISよりも性能の劣るRCDSをなるべくECDISに近づけようとしたものであり、ラスターデータを使用したものとしては満足できるものである。

 ◎ アメリカは自国の沿岸に関してENCを発刊する気があるのか。

 △ あるようであり、サンフランシスコ湾等は既に発刊されている。ただし、ラスターに投資した額を回収するまでは・・・・。また、ECDISは最初にIHO、IMOにて性能基準が決められたもので世界共通のフォーマットを持っているが、RCDSは、最初に各国が作り、その後に性能基準を決めようとしているもので、イギリスはアークという規格があり、アメリカは異なる規格であり、これらは互換性がない。

 □ RCDSというのは各国の機械ごとにプログラムが異なるのか、それともパソコンのようにプログラムを載せかえれば、各国のデータが利用できるのか。

 △ RCDSの性能基準は機械及びソフトウェアについては定められているが、データーフォーマットに関しては定められていない。一方ECDISはIHOで定めたS57という基準に基づいて作成されたディジタルデータが読めることとなっており、RCDSはそれはない。

 □ RCDSは水深警報がないということであるが、後から航海者が避険線というものは引けば警報になるのではないか。

 △ 後から航海者が引けば警報を鳴らすことができる。水深そのものに対するアラームに関しては、RCDSが持っているデータ自体が画像データであるため不可能であるが、航海者が引いた避険線を越えた場合にアラームが鳴るということはできる。

 その後、水路部より、世界測地系に関し、以下のとおり説明があった。

 世界には各国測地系が多数存在し、船舶が陸地の目標との相対航行をしている間は問題がなかったが、GPSから得た緯度経度で直接位置を求めて航行してくるようになると、各国の海図上の緯度経度と異なる事態が起き、航行の危険が内在し、その危険性は高くなりつつある。このため世界で統一しようという動きがあるが、海の世界ばかりではなく陸の地図とも連動しているので事は簡単ではない。AISにおける緯度経度は世界測地系が使用されることとなっている。これは船舶同志が自国の測地系の緯度経度情報で相互に情報を交換すると、測地系が異なるため、船舶と船舶の相関位置が正しくない狂ったものとなってしまうからである。このため、位置表示は常に共通の世界測地系に固定されていなければならない。また、ローカルな測地系の海図に世界測地系の位置をそのまま落としてしまうという危険も発生する。陸上の地図の管轄は建設省であるが、海上保安庁としてはこれらの危険を避けるため、日本としては世界測地系に移行しようと建設省に働きかけている。
 その他特段の意見質問等が無かったため、午後3時30分委員会を終了した。

 

 

 

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