6. 水中構造物等検査画像処理ソフトの作成要領の確認
(データフュージョンソフトウェア(プロトタイプ)の基本仕様)
これまで「港湾施設・水域調査ユニット(以下「調査ユニット」という。)実用化の研究」を進めるにあたり、その主要機能についての検討を進めてきた。
調査ユニットは地震等の大規模な災害が発生した場合に、港湾施設等の被害状況を調査し、これを3次元的に計測する機能を持つ。
本調査ユニットの計測方法として、水中部の計測は超音波測深機を用いて行い、気中部の計測はデジタルカメラを用いた写真計測によって行う。
この異なる2種類のデータを繋ぎ合わせる技術が「データフュージョン」であり、これを実現するソフトウェアの基本仕様を以下に述べる。
本ソフトウェアは、研究過程での作成ということでプロトタイプとして扱い、この成果を基に、使い勝手も含めて、より実用化に即したソフトウェアへのバージョンアップを図る。
6.1 データフュージョンソフトウェア(プロトタイプ)の概要
データフュージョンソフトウェア(プロトタイプ)は、以下の構成を持つ。
・調査ルート設定部
計測を開始する前に、あらかじめ調査するフィールド(港湾)の電子地図を画面上に呼び出し、使用カメラの要目、撮影距離等の項目を設定するとともに、事前に調査航路(測線)を地図上で設定することにより、それを基に調査船の撮影位置を求める。
・フィールド計測部
調査対象の港湾において、先に設定した撮影位置を元にデジタルカメラを制御して、GPSおよび動揺補正装置からの信号を受けながら、ある程度の間隔でシャッターを切り、カメラの位置と、タイムスタンプとともに画像データを保存する。
・データ解析部
デジタルカメラで撮影したステレオ画像を基に、岸壁全体の3次元の測量データ(形状数値データおよびオルソ画像(変位修正画像)データ)を作成する。
この処理は、基本的に専用の画像計測ソフトウェアをベースに構築される。
また、気中部の3次元計測データと、超音波測深機より得られた水中部のデータについて、データが得られない部分(主に海面近くの水中部)のデータを補完しつつ、両方のデータをつなぎ合わせ、連続した物体としてデータを作成し、保存する。