前述した写真計測の精度は、写真の撮り方で決まると言っても過言でない部分があるため、今後、調査ユニットの計測精度を得るために、フィールドワーク等、実用レベルでの、詳細な調査・検討を進めていく必要がある。
また、現段階においては、「計測名人」を用いてデータを解析する場合に、ある程度の人手が必要である。今後、データ処理時間の短縮という課題についても、検討を進めて行く必要がある。
4.1.4.2 デジタルカメラ
最近急速に低価格化が進んでいるデジタルカメラであるが、写真測量に用いるには、カメラの画素数が精度に直接関わってくる。また、調査ユニットというシステム全体として考える場合、データをやりとりするためのインターフェースの有無などが、機種選択の大きなポイントとなる。
アジア航測では、600万画素の解像度を持ち、PCからコントロールできる、Kodak-DCS460を推奨している。
なお、岸壁の舗装面の画像を船上から取得しようとした場合、7m〜8mの高さから、30゜程度の角度を付けて、写真を写さなければならないため、ある程度の正確な骨組みを持ったカメラ固定台が必要となる。
また、データをもれなく効率的に取得するためには、間隔をあけて、2台のデジタルカメラを設置する必要がある。
取得する画像データの精度にも影響するため、その設置間隔や仕組みについて検討を行う必要がある。
4.1.5 水中部、画像視認装置
4.1.5.1 小型ROV
水中部の測量を行うために音響測深機を用いるわけであるが、画面上では岸壁水中部および海底面の形状を把握することはできるが、実際に目視画像として確認することができず、水中の障害物や海底面の変状の確認等が必要となってくる。
そこで、軽量かつハンドリングに優れた小型のLCROV(Low Cost ROV)を用いて海中部の画像を入手するものとし、国内のROVメーカーである三井造船(株)および広和(株)のLCROVについて調査を行った。
今回調査を行う港湾内の水域の深度は、深くて20m程度と考えられ、大水深用のROVは必要としない。しかしながら、浅海域の特徴として、潮流が複雑かつ速いことが予想され、ROVの位置保持が難しく、良好な画像を得ることが難しいと思われる。
三井造船(株)では、独自のトリムコントロール機構によって、ROVのジェット機的な運動を可能とし、潮流を横断するような運動ができる。