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4.1.2.2 GPSを用いた動揺計測装置

近年技術開発が進んでいるGPSのアンテナを3機ないしは4機用いて、相互の位置データから動揺を計測するシステムが考えられる。

WAPT社が開発したGrafNavというソフトウェアを用いたGPS姿勢決定システムは、米空軍向けに開発されたもので、NOVATEL社のGPS受信機を用いて、ポストプロセッシング(データの後処理)により、一周波のGPSアンテナ4機を用いたシステムで、静的時の精度が0.1〜0.2゜であるという報告がある。

GPSによる動揺計測システムは、現在の段階ではあまり一般的でないが、GPSの高精度化、安定化が進み、GPS、GLONASSを併用したシステムの普及も予想されるため、このようなシステムについても、今後検討を進めて行く必要がある。

 

4.1.3 構造物水中部、海底地盤三次元測量装置

4.1.3.1 超音波音響測深装置

調査ユニットにおいて、水中部の測量を行うためには、岸壁の壁面まで計測でき、かつ広範囲なデータ計測が可能なマルチビーム エコーサウンダーが必要である。

水中部の計測の中心機器である超音波測深装置について、メーカーのデモンストレーションに参加するなどして調査を行った。

デモを行ったSIMRAD社の「EM3000」は、世界的なソナーメーカーであるSIMRAD社がリリースした新製品であり、ここにその特徴を簡単にまとめてみる。

<EM3000の機能>

EM3000によって得られるデータは本船のPitch ,Roll ,Heave等に関する補正を行ったデータであり、さらに、本システムは超音波測量の難点である水温に基づく音速の変化を補正することが可能で、事前に海域の水温を測定することにより、水温による音速の補正を計測したデータにリアルタイムで反映できる。また、ソナーヘッドに水温センサーを取り付けることにより、計測した水温(ソナーヘッド部で計測した水温を代表水温として使用)によるリアルタイムの音速補正も可能である。

本システムは、取り込んだデータをWork Station(デモ機はSunのE.W.S.を使用)を用いてデータの処理を行っており、リアルタイムのデータ処理ソフトによって、本船の位置とともに次のデータを表示することができる。

(動揺補正装置として、POS/MVを使用)

・計測した範囲

・各ビームポイントの水深

・計測した海底面の立体表示

・等高線図

・サイドスキャンイメージの表示

さらに、後処理プログラムNEPTUNE, Cfloor(ともにオプション)を用いることによって、以下のようなデータ処理が可能となる。

・深度補正

・海底地形図のモデリング

・測深データの3次元処理

・底質分析

・データ・クリーニング

・アスキーデータへのデータ変換

・土量計算

 

 

 

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