・ハンドリングはなるべく少ない人数で行える。
調査ユニットの輸送および計測・データ後処理等にかかる人員の数を考えた場合、本調査ユニットは、できれば3〜4人程度、多くとも7〜10人程度でハンドリング可能であることが要求される。
・調査船を保有している団体は少ないため、専用船は持たない。
災害発生後に、港湾施設および水域の調査を、倒壊の危険がある陸上ではなく、海上の船舶から行う。しかしながら、港湾管理者が調査船を保有している団体は少なく、専用船を用意することは難しいため、調査ユニットを船舶に設置する場合に、特殊な装備等を必要とせず、小型船舶によって稼働可能な構成とする。
(2) 調査機能
・水中部の被災状況を何らかの形で把握することができる。
通常知ることのできない水中部について、障害物(落下物)の有無や海底面の状態などを把握する機能が必要である。
・被災した施設の測量を行うことができ、変位量を図示することが可能。
被災後の復旧に向けて、復旧断面図を作成するにあたり、被災地の災害状況を調査するとともに、施設の三次元測量を同時に行える機能が必要である。
・波、うねり等に強く、被災箇所の調査を、離れた位置から行うことができる。
崩壊の危険がある陸上から離れた位置からの計測が可能で、台風後のうねりが残る、ある程度あれた海上からでも調査が可能である。
なお、計測結果の利用の観点から、陸上基地局への無線によるデータ送信についても検討を加えておく必要がある。
3.1.1.2 平常時の機能
平成9年度の現状調査の結果から、調査ユニットに求められる平常時の機能について検討を進め、必要条件をより詳細に以下のように抽出した。
平常時の港湾管理の問題点として、管理対象の施設は増加する一方であるのに、管理費、補修費ともに削減される傾向にあることがあげられ、効率的な管理への要求が強かった。また、施設の水中部に対してもより簡単に調査を行いたいとの要望も多かった。
さらに、平常時の調査ユニットの活用方法として、港湾施設の維持・管理に用いることの他に、港湾工事における捨て石均し等への検査に活用することが考えられる。
上記の検討より、本ユニットに求められる平常時の機能としては、以下のことが明らかとなった。
(1) 港湾施設の調査機能
・港湾施設の水中部および前面海底地盤等の状態を何らかの形で表示する。
従来潜水士等に依託して行っている港湾施設の水中部の状態検査や、今まで要求がありながらあまり行われていない前面海底地盤等の状態把握を可能とする。
・施設のひび割れ、腐食状態の確認、肉厚の測定が可能。
上に述べたような、港湾施設の水中部の状態検査の一環として、施設水中部のひび割れ、腐食状態の確認、肉厚の測定等を可能とする。