8. まとめ
本年度は、前年度の成果を基に、1]揺れない浮体構造物のアイデアの理論検討結果に基づくアイデアの絞り込み、2]絞り込んだアイデアの水槽実験による効果の検証、3]揺れない浮体構造物のアイデアの効果をビジュアルに表現するシミュレーションの試行、4]揺れない浮体構造物の設計法基礎検討を行った。
本研究は、広島大学工学部高木幹雄教授を委員長とする「揺れない浮体構造物の研究委員会」を設置し、研究の指導、助言を得た。
以下に検討結果を記す。
(1) 揺れない浮体構造物のアイデアの理論検討結果に基づく絞り込み
揺れない浮体構造物アイデアの減揺効果、実現性等を総合的に評価し、次の4タイプを抽出した。
1] 水線幅変更タイプ(水平没水フィン付き)
2] 減揺タンク上載タイプ(減揺タンクを屋根部分に組み込み)
3] 水線幅変更+SLO-ROLタンク付加タイプ
4] 水線幅変更+TMD制振装置タイプ
(2) 水槽実験
(1) の4タイプ及び減揺対策を施さない基本タイプの5タイプについて、縮尺1/15の模型を製作し水槽実験を行い、その効果を検証した。概要を次に示す。
1] 水線幅変更タイプ(水平没水フィン付き)
ROLL運動の固有周期を長くする効果を有し、航走波等の周期4〜6秒の入射波に対して有効である。
2] 減揺タンク上載タイプ
減揺タンク水運動に対する適正な減衰機構(装置減衰を付加する機構)を付加することにより、大きな減揺効果が期待できる。
3] 水線幅変更+SLO-ROLタンク付加タイプ
ROLL運動の固有周期を極めて長くする効果を持っており、大きな動揺低減効果を有する。
4] 水線幅変更+TMD制振装置付加タイプ
水線幅変更タイプの浮体にTMD制振装置を付加することにより、減衰効果が期待できる。
(3) シミュレーション試行
シミュレーション方針を検討するとともに、簡易モデルによるシミュレーション試行を行った。浮体構造物の動揺、揺れない浮体構造物のアイデアの効果をビジュアルに確認できるシステム構築の基礎手法を構築した。