吉崎清富
政治文化史と音楽史の関係が、丁度政治政策と市民の文化活動とイコールするように、彼は政治と音楽の関係に基づいた芸術作品を考えている。
まず、立法府(政治)と行政府(音楽)の二つに分け、立法府では哲学・美学・思想を、行政府では音楽の組立・製作を……と仮定している。
ヴィオラ(個人)とオーケストラ(国家)を対峙させ、陰陽思想の音律関係と音素材のヒエラルヒーを結合・統一している。
若い青年の一個人の、そしてその中の小さい良心から、大きな社会・国家・世界へと彼の新しい音楽が響き渡るなら、それは決して小さい良心で終わる事はない。
彼の場合、国家の良心と個人の良心は、信頼できる共通の場を持っており、立法府と行政府の関係による彼の音楽作品は、彼の独特な主張と認めることができる。何故なら、国家と個人の社会に於ける運動が、オーケストラとヴィオラの音の運動へと組織化し、特別な精神運動を作り出しているので……。
この作品を出発点として、今後の彼の将来に大きな拍手を送りたい。