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検討点としては、この機関の設立主体の法制度上の整理や、事務手続きとして融資条件・時期と発行条件・時期との整合性をどうとるか等が挙げられる。また、指定金融機関との関係の調整も必要となる。

更に、市場の評価がどうなるのか見極めていく必要があり、市場の評価を高めていくような制度設計が必要であると考えられる。

ロ. 指定金融機関等からの債権の買い取りによる場合

この方式は、指定金融機関等が地方公共団体に対し貸し付けた債権を共同発行機関が買い取り、同機関名義で共同証券化して発行するものである。地方公共団体に対する指定金融機関等の貸付条件は同機関が買い取りの予定利率を示し、それに基づき決定する。

この方式の検討点についても基本的には上記方式と同様であるが、共同発行機関が金融機関でない場合は債権の買い取り資金の調達方法についての検討も必要となる。

(2) 縁故地方債における満期一括償還方式の導入

1)縁故地方債の定時償還について

抽せん償還方式については、市場からは抽せん償還リスクが大きく、その改善が望まれているとともに、発行団体からも、公告手続、公告料等の負担も無視できない等の声もある。このため、市場における流通性の向上を図る等の観点から、満期一括償還方式への移行などを検討することとし、抽せん償還方式についてはこれを採用しないこととすべきであると考えられる。

2)縁故地方債の満期一括償還方式の導入について

一般の市町村など財政規模が小さい団体では、地方債の発行規模も小さく、証書借入が多いことなどもあり、縁故地方債の満期一括償還方式を一律に導入することについてはなかなか難しい面はあるものの、今後の縁故地方債の円滑な流通や安定的な消化を促進するため、可能な団体から速やかに満期一括償還の導入することを検討すべきである。

3)縁故地方債の繰上償還について

地方債の流通性を高めるためには、できる限り発行要項に繰上償還の規定を掲載しない方針をとるものとし、現実に繰上償還を行うべき事由が生じた場合であっても、昭和53年9月の自治省財政局長通達に示すとおり、証券が市中に流通している場合には、繰上償還相当額を減債基金へ積み立てるか、買入消却を行う等の措置を講じ、投資家に不測の損害を与えないようにする必要があると考えられる。

4)債券決済ネットワーク(JBネット)の稼動に伴う縁故地方債の償還方法について

縁故地方債の流通性向上のためには定時償還方式の縁故地方債のJBネットヘの登録促進と併せて、このJBネットの導入を契機として、縁故地方債においても速やかに満期一括償還の方式を導入することが、縁故地方債の流通性向上のための有効な方策であるといえよう。

(3) 地方債に関する情報提供

発行体である地方公共団体、特に一般投資家も保有できる公募地方債を発行している地方団体においては、地方債の発行状況や財務内容等に関して、より一層の情報提供が必要となってきている。具体的には、パンフレットや説明書の作成、ホームページへの情報掲載、あるいはシ団メンバーである金融機関・証券会社との定期的な意見交換会、投資家を含めた市場関係者に対する説明会の開催などが求められるところである。

また、今後は地方債に関する情報提供を地方債に関する専門機関等によって一括して、一元的に行なうことも必要ではないかと思われる。

 

 

 

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