江川 嘉一(えがわ かいち)(昭8.6.30生・大阪府大阪市)
多年にわたり舶用バルブ製作業務に携わり、研磨、旋盤等一貫して現場作業に従事し品質の向上や作業工程等に関する多くの創意工夫を通じ、船舶の品質の向上と安全性の確保に貢献された。
1] 昭和26年以来、氏が製作している舶用バルブは、エンジン冷却系統や船底汚水部分等に使われ、冷却水の塩分や機械油による腐食防止のため青銅(通常は鋳鉄、鋳鋼)を使っていることから技術、コストの両面について、常に現場における創意工夫が求めらている。このため数多くの創意工夫、製品の品質向上と作業工程改善、作業時間の短縮等を行い、造船関連工業の発展に寄与している。
2] 製品の品質・性能の信頼性を裏付ける日本工業規格(JIS)表示許可工場となるために、社内標準化の整備及び製品の品質管理向上に係る数多くの提案を行った。社全体で取り組んだ結果、昭和31年にJIS表示許可工場となり、品質の安定した優れた製品を供給することが出来るようになった。
主な提案:
a. 機械見まわり検査の定期的実施
b. 不良原因のチェックリスト、不良対策カード作成、検討、改善
c. 提案制度の提案
3] 機械工作における刃工具の取り付け方法の改善に着目し、NC旋盤(数値制御旋盤)の取付刃工具を改良して、製造工程を短縮、また、30%のコストダウンにつながった。刃工具の取り替えごとに、従来5分ほどかかっていたものを、刃工具の箱型母体を考案することによりボルト1本を締め込むだけでほぼ瞬時に取り付けできるようにした。
また、湯セキ(溶解された金属を流し込む鋳物土の中の道)を改善して材料の節減を図り、舶用青銅弁の弁箱、弁棒等の製造・検査のための治工具も多数考案して、製造工程の改善・生産性の向上に努めた。
4] 平成4年から大阪市住吉区の万代4丁目町内会の役員を務め、老人会の歩け歩け運動、ゲートボール大会を企画・実施し、さらには青少年ソフトボールチームの監督を務めるなど、スポーツを通じての地域住民の親睦、青少年の心身の健全育成にも力を尽くしている。
((財)日本船舶標準協会推薦)