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藤本 芳雄(ふじもと よしお)(大14.2.1生・神奈川県横浜市)

多年にわたりタンカーの運航や建造に携わり、船舶の諸整備と運航の安全性の向上を図るとともに、事故防止に関する広範な提言・助言を行い、再発防止と新たな事故の発生防止に貢献された。

1] 昭和34年当時の我が国の高圧ガス輸送は未開発で、ガスタンカーの建造、運航に関する知識も不十分であり、安全に関する法規も全て暫定規則から出発した。氏は、同34年から我が国初の液化ガスタンカー「第一えるぴい丸」の建造に関わり、また、初代船長として運航にあたりながらタンク、配管、防熱等ガス関連諸設備の調査・計測を実施し、設備の変更や改善を図った。また、高圧式ガスの取扱い、荷役作業の安全効率化のマニュアルを作成し、ガスタンカー安全運行の基礎を築いた。さらに、その実績を踏まえ大幅にガス関連装置が改良された「第三えるぴい丸」でも初代船長としてさらに改良を進め、高圧ガス輸送をより安全で安定したものとした。

氏のたゆまざる安全への取組の結果、エネルギー資源の安定的確保が行われており、30数年を経た現在でも、高圧ガスタンカー200隻近くが「第三えるぴい丸」の原姿をとどめている。

2] タンカーの洗浄方法として荷役中の原油を使用する方法を普及させ、海洋汚染の防止とともにタンカー船腹の効率的運用、タンク清掃の省力化を図った。

3] 大型タンカー衝突事故の発生に際し、自ら事故船に乗り込み適切な助言をする等して、効果的な処理を実現させた。又、原因究明をして関係機関へ報告書を提出する等事故の再発防止に努めた。

4] 港湾荷役の安全確保のため、国内16のLNGバース新設・増設の委員会に参画し、千葉袖ヶ浦バース、むつ小川原港を始め多数の港湾施設の建設に協力した。

5] 日本タンカー協会、海上災害防止センター、船員災害防止センター、船舶職員養成協会等によるタンカー安全担当者、危険物取扱等責任者のための法定資格講習会等の講師を委嘱され、260回以上受講者12000名余に及ぶ講習会の講師として指導した。

更に、昭和42年以来、海運局、船舶局、港湾局、海上保安庁、日本船主協会、日本海難防止協会、東京電力等多数の機関から40を超す委員会委員等の委嘱を受けて調査研究を行い、事故防止、安全対策に関する報告や提言を行った。

((社)日本船主協会推薦)

 

 

 

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