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加賀谷 博(かがや ひろし)(昭11.11.26生・東京都町田市)

多年にわたり航法用電子応用機器の開発並びに設計に携わり、灯浮標消灯警報装置用暗時検出器や無線方向探知機等の考案・発明・実用化を多数行い、船舶の航行の安全等に貢献された。

1] 灯浮標消灯警報装置用暗時検出器の考案

灯浮標の灯が、船舶による衝突や電源電池の消耗等により故障し消灯した場合、無線で航路標識事務所に警報通知する。従来は、この灯浮標消灯警報装置は常時作動していたため電池の消耗が激しく、消灯検出不良となることが多く、船舶の航行安全上問題があった。

氏は、昭和49年に太陽光の存在を感知して暗時にだけ、消灯していることの検出動作を行う警報装置を考案し、それまで耐用年数1年程度であった検出器を、4〜5年の長期間使用に耐えるように改善した。外部衝撃に強く防水性に優れ、簡便安価なものとしたため、当時40数ヶ所にしか設置されていなかった警報装置が120ヶ所に設置されることとなり船舶の安全航行に寄与した。

2] PLL検出型無線方向探知機の発明

電波の到来方向を図る無線方向探知器は、遭難船舶からの電波や不法侵入船舶からの電波を探知し、その方向や位置を知るための装置として船舶や陸上施設に設置されている。受信アンテナを高速回転させることによって得られる電波の周波数の変化を利用するドップラー方式が知られているが、微細な周波数変化を検出する周波数逓倍という装置が必要であり、高価な上、周波数の低い船舶用通信電波では周波数変化が更に微少なため、この方式による探知は困難とされていた。

氏は、昭和55年にPLL(位相同期ループ:入力信号と出力信号の位相を比較して、周波数の位相を一致させるように追尾させる回路)を用いて、その検出を可能にした簡便安価なドップラー方式の無線方向探知器を発明し実用化するとともに、同59年複数のPLLにより複数の混信電波をも探知し得る構成を発明して改良することにより、船舶用通信電波に対する利用をより有効なものにした。

((社)日本造船研究協会推薦)

 

 

 

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