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地域社会への貢献

 

多年にわたり環境美化、地域の活性化等地域社会の振興に顕著な貢献をされた方々(19件)

 

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堀川 勝夫(ほりがわ かつお)(大8.6.7生・北海道松前郡松前町)

国の天然記念物・松前小島の保護保存のため、地元の有志とともに「松前・離島小島を愛する会」を結成し、崩壊した自然の復元や文化財保護思想の普及啓発に貢献された。

1] 松前小島は、北海道の最南端松前町の南西沖合24kmにあり、漁船や釣り舟が立ち寄る以外にはほとんど人が上陸しない無人島で、かつては広葉樹のイタヤカエデやクワが原生し島の大地を豊かに覆っていた。対馬海流と黒潮がこの海域でぶつかり、マダカアワビをはじめサザエ、ホソメコンブ、ヤリイカ、クロマグロなどが獲れた。

またウトウやウミスズメ、ウミガラス(オロロン鳥)などの海鳥類の生息地でもあるところから、昭和47年に国から天然記念物として指定された。

しかし、戦中、戦後に燃料として島の木が切り出され、さらに、同29年の洞爺丸台風、34年の伊勢湾台風などによる被害が追い打ちをかけ、自然破壊が進んだ。40年頃には、サザエ、アワビはほぼ全滅、コンブも目立って減ったと言われている。

このような現状を憂い、同61年7月、有志と共に「松前・離島小島を愛する会」を結成した。(漁業従事者ら6人を中心に結成。現在会員は約100名)

2] 島への航路は、潮の流れが激しい難所であり、用船の確保の問題や船酔いに悩まされながら、また、天然記念物に指定されていることから復元方法にも制約がある中で、関係機関の理解や協力を得ながら、年に4回ほど島に渡り林層調査、笹の伐採・除草、水源地調査、試験植樹、土壌分析、樹高調査、海鳥類観察、貝類調査、昆虫調査、漁港域の清掃等、地道な活動を続けている。

3] また、会報「松前小島」を発行し、会の活動状況など多角的な情報を会員等に提供している。

4] 平成7年9月には、松前小島の保護について考えるシンポジュウムを松前町と同町の地域づくり協議会と共同で開催し、「魚をはぐくむ森林の多様なはたらき」等の講演を行うなど、各方面への啓蒙活動にも余念がない。

昭和10年頃の小島の姿を取り戻すのが夢。「100年から200年、親子三代で実現する。」と、北海道ならではの息の長い雄大な計画を推し進めている。

(北海道教育委員会推薦)

 

 

 

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