樹下 戒三(きのした かいぞう)(大15.5.14生・山口県大島郡橘町)
昭和24年山口県橘町において保育園を開設、以来多年にわたり地域保育事業の発展に努めて地域とのふれあい交流活動を続け、児童の健全育成と地域社会の福祉向上に貢献された。
1] 昭和24年11月、寺で住職を務める傍ら、終戦後の混乱期で町民の多くは特産のみかんや野菜作り、あるいは漁業と、細々と日々の糧を得るのに追われ、家族での保育に欠ける乳幼児が多く見受けられた。こうした状況を見かね、生家でもある寺の本堂や庫裏を活用して、町内で最初の認可保育所「安下庄保育園」を定員70人で開設、園長に就任し、地域保育事業の発展に尽力した。
その後、最大120人定員まで保育所は拡大したが、同30年代に入ると島民の都市への流出が始まり、過疎化が顕在化し園児数も減少したため、数度の定員見直しにより、現在では定員45名の保育所として、仕事と子育ての拠点施設として確固たる地位を築いている。
2] 早くから地域に開かれた保育所を目指し、世代間交流事業として地元老人福祉施設との交流や町老人寿大学への遊戯参加、敬老の日のプレゼント作り等、高齢化の進んだ町ならではの活動を行い、また、異年齢児との交流として地元小学校の運動会や各種行事に参加し、地域とのふれあい交流に積極的に取り組むなど、保育事業を通じて幅広い活動を展開している。
3] 開設と同時の園舎創設、昭和26年及び57年の改築、同44年の乳児室の増設、平成9年の大規模修繕等、私財を投じて保育所の近代化に対応し、園の着実な発展に意欲と情熱を注ぎ健全な園運営を行っている。
4] 昭和39年から4年間、町の教育委員として、青少年の健全育成や児童環境づくりに取り組むほか、同60年から平成元年までは豊富な知識と経験をもとに大島郡保育協会の支部長として、また、山口県保育協会の理事として、県内保育所の水準の向上と県保育界の発展に寄与している。
(山口県推薦)