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西嶋 一司(にしじま かずし)(昭5.2.22生・山口県長門市)

自らの障害を克服し洋服仕立業を自営する傍ら、多年にわたり地域における手話普及を中心に活動し、障害者福祉団体の要職を歴任するなど、地域社会の福祉向上に貢献された。

1] 聴覚及び音声言語障害(身体障害者手帳1級)というコミュニケーションが困難な障害を克服し、昭和22年から平成6年まで洋服仕立業に励み、自活と社会参加を果たしてきた。聴覚障害者が「完全参加と平等」を果たすためには、手話通訳者が必要不可欠であるという強い信念のもとに、地元における手話普及を中心とした活動を始め、長門市でろうあ者との交流と手話通訳者の養成を図る「手話の会」の中心的な指導者として永年活躍している。

親身で熱心な指導を続けてきたことが人々の信望を集めた。特に若者の指導には熱心で、議論が白熱し回りから見ると口論をしているかのように映ることも多かったが、その熱意から信頼と多くの尊敬を得ていた。

2] 昭和41年には、山口県ろうあ連盟の前身である山口県ろうあ福祉協会の理事に就任し、活動を県域規模に広げた。当時は苦しい財政状況であったが、団体の発展に尽力するとともに身体障害者のスポーツ大会には積極的に参加し、バレーボール、ソフトボールに親しむなど、スポーツを通じた障害者の社会参加を自ら実践し推進した。

3] 昭和60年から平成6年までの9年間は山口県ろうあ連盟の理事長として、県域の活動を意欲的に務め、電車やバスを乗り継いで会議や行事に欠かすことなく参加し、そのバイタリティーには周囲の者も驚くことが多かった。手話講習の推進と手話通訳者の養成、派遣の充実に重点的に取り組み、障害者の自立更生意欲の高揚に努めるほか、聴覚障害者福祉の一層の増進に資する聴覚障害者情報提供施設の設置に向けて、障害者やその関係者が一丸となって取り組むための地盤づくりにも尽力し、先頭に立って県の聴覚障害者福祉の向上を推進した。

理事長を退いた後も理事として後輩の指導に当たるなど幅広い活動を続け、連盟を退いた現在も地元長門市の「手話の会」で良きアドバイザーとして活躍している。

(山口県推薦)

 

 

 

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