岡田 茂(おかだ しげる)(大13.10.21生・三重県一志郡美杉村)
多年にわたり心身障害者の尊厳と福祉の向上のため、福祉団体の要職を歴任し全国規模で活動するほか、地域での障害者施設の設立に尽力するなど、社会福祉の向上に貢献された。
1] 昭和25年に誕生した長男に知的障害があることが分かったとき、「この子は、私たち夫婦であればこそ安心して生まれてきた」と考え、障害を持つ子の人間としての成長を願い、子育てに励んだ。
障害者が引け目を感じない、障害者を哀れんだり蔑視しない社会づくりに対する強い思いをこめ、人一倍世話好きな性格から娯楽等の少ない村にあって、地域の若者が気軽に立ち寄り憩える家庭環境を築き、障害を持つ我が子を含めて交流のできる場を提供し福祉の向上に尽力した。また、道路事情の悪い村にあって、同28年から30年間にわたり一志郡美杉村の交通安全協会役員や県交通安全協会連合会の代議員を務めるなど、積極的に地域での活動に取り組んでいる。
2] 昭和42年からは、三重県精神薄弱者育成会理事長をはじめ、全日本同会理事などの要職を歴任し、在家庭の育成から多くの仲間と切磋琢磨できる施設入所も重要であるとの考えも取り入れ、重責を果たした。同49年全日本精神薄弱者育成会の役員として東京で熱い論議を繰り広げている最中、氏を支え共に頑張ってきた夫人を亡くされたが、その後も同62年まで全国規模での活動を続け、心身障害者の尊厳と福祉の向上、社会福祉の進展に貢献した。
3] 60歳を過ぎてからは、活動の範囲を絞りながらも、長男が入所する施設の保護者会長や名張育成会理事などの役職を務めているが、村内においては心身障害者福祉団体「杉の実会」の成長を指導し、行政や議会の理解を促した結果、平成7年4月に、新築・開所した村の小規模授産施設「杉の実作業所」の嘱託所長として信望を集め、通所者の毎日が楽しく潤いのある施設であるよう管理、指導に精を出している。
障害を持つ子の親は如何にあるべきかを、世間や行政とともに考え、バリアフリーの社会を築くことを信条に活動を続けている。
(三重県推薦)