望月 弘子(もちづき ひろこ)(昭5.11.4生・山梨県甲府市)
一貫したヒューマニズム精神を基盤に、実践活動を通じて山梨県内全域に愛育活動を広め、また在宅療養者を対象とした訪問看護を制度化させるなど、社会福祉の向上に貢献された。
1] 昭和29年から愛育組織活動をライフワークとしてはじめ、隣組単位の母と子の健康を守る家庭訪問などの実践活動から始まり班員常会の開催、班員教育など時代の要請に対応した活動を山梨県内各地に普及させ、同41年に「愛育のあゆみ」を発刊して愛育班活動の取り組み方を示した。各市町村での活動を推進していく単位愛育会として保健所管内愛育連合会をつくり、同41年には県愛育連合会を結成、時代を反映して人間づくりの礎である母と子の健康を守ることから、一人暮らしや寝たきり者への見守りも実施して活動を続けている。
2] 昭和51年から山梨県看護協会常任理事として、訪問看護の制度化へ向けて実態把握の調査、有効性、可能性の検討を実施し、看護婦・保健婦のペア訪問により業務の理解が深まり、お互いの不足部分を補完することによって質の高い看護が提供できることを確認した。その時点から、病院と地域の看護職による継続看護の研修会を企画し、実践によるシステム化に取り組んでいる。
3] 昭和54年県に対して市町村を実施主体とした訪問看護の制度化を要望し、県は翌55年から5年計画で全市町村を制度化した。訪問看護婦の確保、認定講習、登録、市町村への派遣、訪問看護婦のフォロー研修、医師会と看護協会による臨時応急措置についての協定など、看護協会により制度化が実現した。また、マンパワーの確保のためホームケアバンク、保健福祉の連携による処遇検討のシステム化も実施している。
4] 老人健保法の改正による看護協会設立の訪問看護ステーションの設置に伴い、県の訪問看護制度とステーションの訪問看護の整合性を検討し、どんな山奥でも、いつでも誰もが質の良い看護を受けられる体制を整えたいとの考えから、県下11ヶ所にステーションの設立を予定し、情報の集中管理を試みている。(現在既設ステーション5ヶ所)
((財)日本訪問看護振興財団推薦)