佐藤 織江(さとう おりえ)(昭12.7.3生・新潟県栃尾市)
子どもの育ちを重視した保育を志し、多年にわたり保護者の要望に即した早朝保育、延長保育、障害児保育、乳児保育及び育児相談など地域に根ざした保育を展開し、社会福祉の増進に貢献された。
1] 大正15年に設立された芳香稚草園は新潟県栃尾地域における乳幼児保育の草分け的存在であり、子育てと地場産業・織物工場への従事との対応に苦慮する地域住民の要望に即した保育事業を展開してきた。
氏は、昭和47年同園の職員となり、「子どもの育ちを第一に」の観点から、保護者と保育園が一体となった保育を目指すとともに保育の質の向上に努め、低年齢児保育を乳児(零歳)にまで拡大し、居残り保育についても保護者と話し合いを進め拡充に努めた。
同52年には園長に就任し歴史と伝統のある保育園を、より時代のニーズに対応できるように職員とともに努力を重ね、乳児については必要に応じて母親の産休明けからの受入れ実施、延長保育、また障害児保育についても積極的に取り組んできた。地場産業である織物工場に勤める女子工員たちのために、早朝からの園児受入れに踏み切るとともに、冬季には延長時間を園長の自宅で過ごす「おこた保育」の子どもを大勢預かっていることもあった。
2] 栃尾市においても核家族化が進行し、子育てに係わる各種の伝承が薄れて育児不安を訴える家庭が増加するとともに、昭和57年から育児相談事業を開始して、様々な相談をきっかけに育児サークルも誕生し、地域活動に広がりを見るようになった。また、平成2年から広く県下に呼びかけ、県内の女性園長18名による勉強会「あじさいの会」を設け、育児相談の事例を中心に毎月1回を学習日として研鑚に努めている。
3] 昭和59年からは新潟県さらには全国レベルの保育団体の各種要職を務めて保育事業の向上発展に尽力する一方、高齢者の生涯学習を推進する寿大学に参加する老人との交流、また少子化・高齢化社会における子どもの健全な育ちに関わる健康づくり推進メンバーとして、積極的に地域社会の福祉向上に貢献している。
((福)日本保育協会推薦)