浅野 義幸(あさの よしゆき)(昭19.6.14生・石川県松任市)
多年にわたり石川県伝統工芸師として認定された高い技術力をもって日本太鼓の製作を継続する一方、各地の伝統太鼓の継承や後継者の育成に努めるなど、伝統文化・太鼓の普及振興に貢献された。
1] 昭和45年家業の太鼓製作を継いで以来、高い技術力をもって日本太鼓づくりに携わり、同59年には石川県伝統工芸師の認定を受けている。特に大太鼓づくりには稀有な才能を発揮して、平成10年3月飛騨の「高山祭りの森美術館」に納めた最大径8尺8寸(約2.7)の現在日本一の大太鼓には原木の唐木をアフリカ・カメルーンに求め、3年を費やして完成させた。
2] 昭和63年太鼓の普及と後継者育成のため、地元・松任市に練習場を備え世界各地の太鼓や民俗楽器をはじめ、太鼓に関する資料を展示する「太鼓の里」を開設して、太鼓教室の開催、演奏者の指導、コンサートの企画・監修、情報誌の刊行など幅広く活躍している。伝統太鼓の継承、創作太鼓の普及発展に努める一方、西能登やっちゃ祭り、石川の太鼓、日本太鼓全国フェスティバル等に積極的に協力、特に平成3年に開催された国民文化祭石川'92では太鼓界のリーダーとして成功に貢献した。
自らが指導して育成した太鼓チームも多く、なかでも昭和63年に発足した女性3名の太鼓グループ“炎太鼓”は女性チームのシンボル的存在として全国に知られ、主婦など女性太鼓愛好者の拡大に大きな役割を果たしている。
3] 昭和60年から太鼓を活用した青少年の非行化防止と健全育成を積極的に実践し、教育行政機関、学校、民生委員等に休日を利用して働きかけ、登校拒否や非行化等、問題のある青少年を太鼓の演奏メンバーとして誘い、彼らが演奏を通じて太鼓仲間と新たな友人関係を築くのに貢献した。また幼児教育にも太鼓を活用するなど、地域に根づいた地道なボランティア活動も行っている。
4] 海外からのグループも参加する松任国際太鼓フェスティバルを開催して太鼓の国際化に努め、米国、イスラエル、東南アジア諸国など海外における国際交流事業においても、太鼓を無償で貸し出すとともに自らも同行して日本太鼓による伝統芸能の紹介や指導に努めた。
平成6年全日本太鼓連盟の監事となり、同9年の財団法人設立にあたっては太鼓関係者のとりまとめ役となり、また同8年地元石川県太鼓連盟の社団法人化にも率先尽力している。
((財)日本太鼓連盟推薦)