辻 正行(つじ まさゆき)(昭7.8.5生・神奈川県川崎市)
多年にわたり卓越した指導法を駆使して幾多のアマチュア合唱団の育成発展に傾注し、「すみだ5000人第九コンサート」の指揮、国際交流など、合唱指揮界の先駆者として音楽の振興に貢献された。
1] 昭和23年高校生の時以来一貫して合唱の道を歩み、大学・大学院時代は声楽を、卒業後は10年間プロ合唱団に属した。その後、フリーの合唱指揮者となり、約200ものアマチュア合唱団を育成するなど、合唱指揮の先駆者として大きな役割を果たしている。
2] 昭和30年NHK東京放送合唱団に入団しテナーとして活躍するとともに、アマチュア合唱団の指導に意欲を示し、優れた音楽性と卓越した指導法をもって、少年少女、高校、大学、一般、職場等の専属指揮約100団体、客演・合同演奏指揮を含めると約200団体の指導、育成を行ってきた。全日本合唱コンクールで同59年から4年連続して傘下団体が金賞を受賞、また、平成2年からも5年連続して金賞を受賞、自らも59年最優秀指揮者に贈られるコーラス・オブ・ザ・ワールド賞を受賞するなど、合唱指揮者界のパイオニアとして音楽の普及振興に寄与している。
3] 昭和40年フリーの合唱指揮者となり、我が国で初めての邦人作曲家の個展をコンダクト・リサイタルとして開催し、以来、邦人作曲家の作品研究を進め、高い評価を得ている。同60年2月両国国技館のオープニング行事として、世界初の試みであるアマチュアによる第1回“すみだ5000人第九コンサート”の合唱を指揮して成功に導き、以後第10回までコーラスマスターを務めた。
4] 昭和61年西ドイツ・ハイデルベルグにおける“第九”演奏会を成功させ、同62年から平成3年には毎年オーストリア・ウィーンのムジークフェラインで“第九”を演奏、翌4年8月北京の21世紀劇院で開催された日中国交正常化20周年記念・“日中青年友好第九コンサート”に参画して成功を収めるなど、“第九”の演奏を通じて国際交流の促進に貢献している。
5] 活発な指揮活動を続ける一方、全日本合唱連盟副理事長、東京都合唱連盟理事長の要職を歴任してアマチュア合唱の普及発展に尽力するとともに、昭和38年結成の日本合唱指揮者協会設立に参画して合唱指揮者の社会的地位の向上に努め、平成6年からは同協会理事長として後進の育成と音楽の振興に寄与している。
((財)日本音楽財団推薦)