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樫尾 直(かしお なおし)(昭31.9.23生・秋田県秋田市)

秋田県画壇の若手リーダーとして活躍する一方、多年にわたり児童自立支援施設の美術講師を務め、また自作を寄贈して地域の施設理解に寄与するなど、絵画を通じて青少年の育成に貢献された。

1] 画風は、主に風景や静物を対象とする具象画で、昭和52年「唐辛子のある静物」で秋田県美術展覧会特賞、自由美術展には翌53年に初入選し、以後毎年出品して18回入選、うち佳作賞2回、平成9年には「ある風景'97」で平和賞と、3回の入賞を果たしている。また、同7年には「ある風景'95」により国内最大の具象画コンクールで洋画界の新人作家の登竜門とされる安井賞展に入選、同9年には秋田県芸術選奨に選ばれるなど、秋田県画壇の若手リーダーとして活躍している。

地元の秋田市で個展を7回開催したほか、秋田・仙台・東京でのグループ展にも出展している。

2] 昭和54年大学卒業とともに、秋田市にある教護院(現・児童自立支援施設)・千秋学園の強い要請に応えて美術担当の時間講師となり、以来20年にわたって毎週同学園を訪れ、児童生徒の美術指導にあたっている。

同学園には、家庭やその他の環境上の理由から社会への適応力を欠いた児童生徒が在園し、指導員と生活を共にして情緒の安定を図りながら、規則正しい生活と礼儀作法の指導、学習、園芸や環境整備の実習などを受けている。

3] 氏は、講師として同学園を訪れる以外にも、ボランティアで学園祭や激励会など諸行事の教室等の飾り付け、子供たちが家族に出すクリスマスカード・年賀状づくり、版画づくり等を指導して自信を持たせるとともに、個展の際には児童生徒を会場に案内して自作の内容を丁寧に説明するなど、絵画鑑賞の手助けも実践している。

4] 平成9年3月には、黄昏の空を背景に浜の番屋を描いて静謐な心象風景を表現した80号の大作「ある風景'91」を同学園に寄贈した。以来、作品を鑑賞に同学園を訪れる市民が多くなり、施設を理解し児童生徒の自立への協力者も増加するなど、絵画を通じて青少年の育成に寄与している。

((社)日本精神保健福祉連盟推薦)

 

 

 

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