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故.野口 陽生(のぐち ようせい)(昭44.7.3生・福岡県北九州市)

平成9年10月26日早朝、捜査用車を運転してJR小倉駅南口前で停車した際、不審な男を職務質問しようと降車した同僚が暴行を受けたため取り押さえようとしたところ、隠し持っていた刃物でいきなり左胸部を刺されたが怯まず、男を押し倒したものの力尽きその職に殉じられた。

平成9年10月26日午前4時10分頃、兵庫県姫路警察署から寸借詐欺の容疑で逮捕された被疑者が駅のコインロッカーの鍵を所持していたため、小倉北警察署で当直勤務中の氏は、その裏付け捜査とロッカーを確認するため、同僚の刑事と私服姿で捜査車両を運転しJR小倉駅へ向かった。

氏が、同駅南口のロータリーに捜査車両を停車させた直後、追従してきていた乗用車が激しくクラクションを鳴らしたので、助手席に座っていた同僚刑事は、乗用車を運転していた男に職務質問するため車外に出たところ、男は駆け寄り突然同僚の顔面を殴りつけた。同僚は「警察の者だ。何をする。」と声を上げ、男を暴行の現行犯と認め、氏と2人で協力して逮捕しようとした。

氏は、男の隠し持っていた刃物(刃渡り10cm)でいきなり左胸部を突き刺されたが怯むことなく、強い責任感をもって最後まで犯人を制圧しようとその場に押し倒して、凶器を取り上げようとしたが力尽き制圧した状態でその場に倒れた。

救急車で直ちに病院へ急送されたが、左胸部の傷は心臓に達しており必死の救命措置も虚しく、同日午前5時20分頃その職に殉じられた。

犯人は同僚の刑事と小倉駅前交番の警官らによりその場で逮捕された。

((財)警察協会推薦)

 

 

 

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