故.長谷川 博幸(はせがわ ひろゆき)(昭38.12.3生・兵庫県明石市)
平成9年12月29日夜、JR山陽線須磨駅で、男性がホームから線路に転落したのを見るや、自身の危険を顧みずホーム端から手を差し伸べ男性の救助に成功しかけたが、折からホームに進入してきた電車に巻き込まれ、惜しくも亡くなられた。
平成9年12月29日午後9時15分頃、会社から帰宅途中の氏が、快速電車に乗り換えるため神戸市須磨区のJR須磨駅下りホーム中央付近で待っていたところ、5m程離れたところで男性がふらつきながらホームの線路側の方へ歩いて行った。氏は、ホームに電車がさしかかる直前にその男性が背中から線路上に転落するのを目撃するや、ホームの端に駆け寄り、しゃがみ込んで身を乗り出して手を差し伸べ、懸命に男性を引き上げようと試みた。ホームには、電車を待つ乗客が数十名いたが氏が救援を求める間もなかったことから、一人で身の危険を顧みず果敢に男性を救助しようとした。
氏は、いったんは男性の手を掴み救助に成功しかけたが、バランスを崩し転倒した。折からホームに進入してきた快速電車の運転手は、20m程手前で氏と男性の姿に気付き非常停止措置をとったが間に合わず、氏は電車に巻き込まれた。電車とホームの間に上半身を挟まれた状態で約50m引きずられ、119番通報を受けて到着した同市の消防局救助工作車が、直ちに氏と男性を救出したが、二名とも亡くなられた。
氏は、生来の正義感から、直前に電車が迫っている極めて危険な状態下においても、身の危険を顧みず勇気ある行動をとったもので、惜しくも亡くなられたが、自らを犠牲にした尊い行動は広く感銘を与えた。
((財)警察協会推薦)