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故.東 洋(あずま ひろし)(昭18.4.23生・大阪府藤井寺市)

平成9年10月25日午前1時頃、藤井寺市内で火災発生との通報を受けるや、消防団員に非常召集をかけるとともにポンプ車を運転して自宅から約1.2km離れた火災現場に急行したが、現場を目前にして走行中に心筋梗塞を発症し、その職に殉じられた。

平成9年10月25日午前1時頃、消防団班長の氏は自宅で就寝中に藤井寺市小山町7丁目付近で火災発生との一報を受け、第1分団第4班団員に非常召集をかけるとともに素早く消防作業服に着替え、自宅から約80m離れた車庫へ急ぎ、車庫を開けてポンプ車に乗るとエンジンを始動させ直ぐに出動できるように準備を整え、団員が集まるのを待った。

氏は、「早く駆けつけなければ大火につながる恐れがある。」と焦る心を押さえつつ、駆けつけた団員1名とともに他の団員の参集を待ちながら出動待機をしていたが、サイレンを響かせて他の班の消防ポンプ車が走りすぎたため、ポンプ車の運転席に乗り込み火災現場に向け出動した。

しかし、暫く走行したが通報のあった方面には炎や黒煙は見あたらず、確認のため速度を落として走行した。遅れて出動してきた他の団員たちに合流し追従するよう指示を出し、再び付近の状況を確認しながら火災発生現場と思われる方向に向けて走り始めて数分後、突然ポンプ車は進行方向を変えて進路脇の建物の門柱に激突し、門柱やブロック塀をなぎ倒して停車した。

同乗していた団員が運転席を見ると氏が倒れていたため、激突のショックで気を失っているものと思い抱き起こしたが、氏は意識不明で呼吸も停止しており、団員がすぐさま人工呼吸を行った。追従してきた他の団員が救急車を要請し、直ちに病院に急送され懸命の救命措置を受けたが、その甲斐もなく同日午前2時心筋梗塞のためその職に殉じられた。

また、氏は、平成9年に梯子乗りを取り入れた「藤井寺纏消会」を自ら発起人となって発足させるなど、市民に対する火災予防の啓蒙活動にも尽力されていた。

((財)日本消防協会推薦)

 

 

 

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